署名した契約書を持ち、Faxの列に並ぶハメに
NBA選手の契約といえば、代理人と球団が書類業務をこなし、選手は書面にサインするだけで最後にGMと握手をして記念撮影、というシーンが思い浮かぶかもしれない。だが、NBAトップクラスのポイントガードとして知られるマイク・コンリーは、キャリア4年目を迎える直前、契約書類を手に持ち、全速力で走らなければならない事態に直面した。
2007年のドラフト全体4位でグリズリーズから指名されたコンリーは、2010年に延長契約を結ぶ手筈を整えていた。3年目までの活躍が認められ、5年4000万ドル(約45億円)という大型契約を提示されたのだが、あと少しのところで破談になりかけたという。
NBAでは、ドラフト1巡目指名を受けた新人契約下の選手が所属球団と延長契約を結ぶ場合、契約締結が認められる期限日時が設定されている。『ESPN』記者ザック・ロウのポッドキャスト番組に出演したコンリーは、この期限日時寸前になって書類をリーグとグリズリーズに自らFaxで送信するハメに陥ったエピソードを語った。
「Wロサンゼルスーウエストビバリーヒルズの部屋で寛いでいたら、たしか夜の8:55とか、7:55くらいに球団から電話がかかってきたんだ。そうしたら、『今すぐ下に降りて、書類にサインをして、Faxしてくれ』と言われてね。慌てて階段を駆け下りたら、ホテルのFaxの前に2人並んでいたんだ。その時には汗だくで、『お願いだから早くしてくれよ。こんなことで契約をダメにするわけにはいかないんだ』という感じだったよ」
「それで順番を待ったんだけれど、大至急書類をFaxしないといけなかった。電話口の(グリズリーズGMクリス・ウォーレスは)、『まだ届いていない!まだきていないぞ!』という感じで、時間だけが過ぎていってね。ようやく自分の順番になったのは、期限日時の1分前だった」
コート上では冷静な司令塔でも、4000万ドルもの大金を失いかけたこの時ばかりは冷や汗をかいたはず。無事に延長契約を結んだコンリーは、その後もグリズリーズの看板選手として活躍し続け、6年後の2016年に5年1億5300万ドル(約173億円)のマックス契約を勝ち取った。
2010年の一連の経験を踏まえ、彼は余裕を持って行動することを座右の銘にするようになったのではないだろうか。
Mike Conley gets the floater to fall to send things to double OT in Brooklyn!#GrindCity pic.twitter.com/kkzypM234C
— NBA TV (@NBATV) 2018年12月1日