藤永佳昭

移籍当初はプレッシャーも感じていたが、11月末ごろからチームにフィット

アルバルク東京は、30勝8敗の東地区2位という成績でシーズン前半戦を折り返した。笹倉怜寿、ジャスティン・コブス、岡本飛竜とポイントガード勢の故障が相次いだチームを助け、1月7日の川崎ブレイブサンダース戦からの10 連勝にも貢献したのが藤永佳昭だ。

2018-2019シーズンより千葉ジェッツで4シーズンプレーした藤永は、今シーズンにA東京に加入。リーグ屈指のエリートクラブであるA東京からオファーを受けた際の心境を尋ねると「素直にうれしい気持ちだった」と言ったが、「同時に、勝つことが義務付けられているチームだと思っていたので、プレッシャーも感じました」と続けた。

開幕当初は、シーズン前に負った肋骨骨折や上記のプレッシャーの影響で、なかなかプレータイムを得られなかった。「ギリギリ開幕戦には間に合ったんですけど、全然チームにフィットしませんでした。移籍1年目はこういうものだって分かってはいたんですけど、なかなか難しくて最初は本当に大変でしたね。11月末の茨城(ロボッツ)戦あたりで、ようやく自分のプレーをチームメートに分かってもらってきた感じです」

藤永佳昭

「正しいポジショニングや正しいプレーでチームメートを大事にしていますく」

藤永にとって大きな潮目となったのが、正ポイントガードのコブスが負傷でインジュアリーリストに入った1月だ。1月18日の群馬クレインサンダーズ戦から先発出場した藤永は、それ以降20分近いプレータイムを獲得し、司令塔としてチームをコントロールした。千葉Jでは、控えのディフェンスマンとしてコートに立ち、ごく短い時間で試合の流れを変える役割に徹していたが、現在はディフェンスだけでなく、ゲームコントロール、得点など様々な役割に応えられる『新しい自分』を目指している。

中でも、藤永がデイアニス・アドマイティスヘッドコーチから評価されていると自認しているのが、ゲームを作り上げる能力だ。「(デイニアス)アドマイティスヘッドコーチは、選手一人ひとりをしっかり配置するというか、コールした時に他の選手が正しいポジションにいなかったらガードが直せと言います。とにかく細かくて、自分にとっても新しいバスケなんですけど、そこができるから信頼されているのかなと。まずは仲間をきちんとオーガナイズしてオフェンスを作って、苦しい時は自分でも得点を取る。正しいポジショニングや正しいプレーでチームメートを導く。遂行力っていうんですかね。そこは大事にしていますし、スタッツで言えば貢献度を意識しています」

藤永を取材したのは2月5日の大阪エヴェッサ戦。14分のプレータイムで無得点、3ターンオーバー、5ファウル退場という惨憺たる内容に終わったこの試合を藤永は「キャリアの中でもワーストの出来だったと思う」と振り返ったが、その口調は意外にも明るかった。「今これだけプレータイムもらってすごく楽しいですし、今日みたいな試合も成長できるチャンスだととらえています。今日は今日で落ち込んで、24時間ルールでまた明日から修正していけばいいかなと思います」

バイウィークを経てコブスが復帰すれば、藤永のプレータイムや起用方法はそれなりに変化が生じるだろう。しかし、藤永はやはり前向きだ。「今は20分以上出ることを考えてうまく体力をコントロールしながらやっているところもありますが、メンバー戻ってきてプレータイムがシェアできたら、今後はまた異なる自分のカラーを出せると思うし、それで会場を盛り上げられたらうれしいです」

サイズや華やかさはない。しかしポイントガードに必要不可欠な遂行力を武器に、新しいチャレンジにポジティブに取り組む藤永の存在は、後半戦も引き続きチームの良き潤滑油となりそうだ。

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