ディアンジェロ・ラッセル

ポイントガードを入れ替え、オフボールで動ける選手が少ない課題を解消

ラッセル・ウェストブルックは昨シーズンの開幕前にレイカーズに加入して以来、常に批判の矛先を向けられていました。ケガ人だらけでも、適正のあるポジションで起用されなくても、ロスターに問題があっても、多くの責任はウェストブルックにあるとされ、15.9得点、6.2リバウンド、7.5アシストのシックスマンは放出されることが既定路線でした。

そのウェストブルックが一向に放出されることなくトレードデッドラインまで来てしまったのは、フロントの大きなミスでした。それはウェストブルックがトレードで対価を期待できる唯一の選手で、チームを大きく改革できるトレードでなければ動くに動けなかったからでもあります。その意味ではディアンジェロ・ラッセル、ジャレッド・バンダービルト、マリーク・ビーズリーを獲得したトレードと、その後に続いたロスターのバランスを整えるトレードによって、チームはようやく改革に成功しました。

新戦力の目玉となるラッセルはパス能力に優れていますが個人での突破力に欠けるため、チーム戦術に乏しいレイカーズでは苦戦しそうです。それでもバンダービルトとビーズリーという元ティンバーウルブズのトリオが結成されたことで連携は期待できます。

ただし、もう1人の元ウルブズであるパトリック・ベバリーは放出されることになりました。2巡目指名権を付けてマジックのモー・バンバを獲得し、ビッグマンが過剰になったためにトーマス・ブライアントを2巡目指名権3つと交換しました。ビッグマンを強化しながら指名権を確保し、トレードの収支はプラスになっています。

現状のロスターには2つの問題点がありました。まずはガードが多すぎ、ウイングやビッグマンの層が薄いことで、言い換えればオンボールタイプの選手が多く、オフボールで働ける選手が少ないことでした。今回のトレードでオンボールタイプの獲得はラッセルのみで、シューターやハードワーカーを集めたのはチームオフェンスをスムーズにしてくれるはずです。

もう一つの問題はレブロン・ジェームズとアンソニー・デイビス以外の主力は来シーズンの契約がなく、今シーズン終了後のフリーエージェント市場で柔軟に動ける反面、ロールプレイヤーの質の低さに悩む可能性があったことです。ラッセルは年俸が高いものの契約は今シーズン限りで、フリーエージェント市場で優位な立場を維持しながら、ビーズリー、バンダービルト、バンバ、デッドライン以前に獲得した八村塁も含めて来シーズン以降も視野に入れたチーム作りができました。

西カンファレンス13位の現状ではプレーイン・トーナメント進出が現実的な目標であり、今シーズンを捨てはしなくても、今シーズンで終わってしまう補強では意味がなかったことを考えると、上手く課題を解決できたデッドラインでした。

ここから勝率5割を達成するには、残り試合を16勝11敗と勝ち越す必要があり、簡単ではありませんが不可能ではありません。オンボールタイプとオフボールタイプの選手によるバランスを改善し、連携も良くなることが期待できます。チーム浮上のポイントは、これまでのようなレブロンの個人技頼みから脱却できるかどうかになりそうです。