琉球ゴールデンキングス

文・写真=鈴木栄一

インサイドでの得点力が接戦で大きな違いを生む

11月10日、琉球ゴールデンキングスが敵地の船橋アリーナで千葉ジェッツと対戦。ペイント内での得点で44-26とゴール下の攻防で優位に立ち、千葉の追い上げをかわして競り勝った。

第1クォーターは互いに高確率でシュートを決め合い、千葉の25-22と互角で終える。第2クォーターに入ると、互いに守備の強度を強めて点数が伸びないことで膠着状態に陥りかけるも、残り5分を切ってから岸本隆一が約1分半の間に3ポイントシュートを3本成功。こうして38-33と逆転に成功した琉球がこのまま6点リードで試合を折り返す。

それでも後半に入ると、今後は千葉が持ち味を出す。富樫勇樹の高い個人技に加え、ディフェンスリバウンドからのトランジションオフェンスから石井講祐の3ポイントシュートと、得意のパターンで47-45と再び試合をひっくり返す。

だが、琉球はすぐに古川孝敏が3ポイントシュートを入れ返して悪い流れを断ち切る。すると、ここから冒頭で触れたインサイドでの得点力が大きな違いとなってくる。小野龍猛の欠場でゴール下での攻めのオプションを欠く千葉に対し、琉球はオフェンスリバウンドからのセカンドチャンス、ドライブからの合わせなど要所でジョシュ・スコットが泥臭くゴール下で加点。さらに終了直前に石崎巧が体勢を崩しながら3ポイントシュートを決めるビッグプレイで67-56とリードを2桁に広げる。

琉球ゴールデンキングス

インサイドへの深さのある攻撃で千葉を翻弄

第4クォーターも琉球は、「今シーズン、アップテンポなゲームを目指していますが、ちょっとやりすぎて単発という言い方もできました。それを今日は我慢強く24秒を使うことができました。難しい時間帯も粘って攻めることができました」と佐々宜央ヘッドコーチが振り返るように、しっかりとインサイドにアタックする深さのある攻撃を展開し、千葉を翻弄していく。その結果、オフィシャルタイムアウト時には17点の大量リードにまで突き放す。

だが、ここから琉球はヘッドコーチが「ウチの弱みは集中力が持続しないこと」と語るように不用意なミスが増え、この隙に付け込んだ千葉が走るバスケットボールに持ち込む。これで徐々に追い上げると、残り約1分にはエドワーズの速攻で5点差にまで迫る。

しかし、琉球は直後の攻撃でスコットが値千金のバスケット・カウントを得ると、フリースローも沈めて再び8点差とし、これで勝負あり。最後、千葉は西村文男が自陣から放つロングシュートを沈めるが時すでに遅しで、琉球が86-84と2点差で逃げ切った。

琉球ゴールデンキングス

「リバウンドとルーズボールは絶対に負けない」

この試合、琉球は3ポイントシュート23本中11本成功(47.8%)と高確率でシュートを沈め、オフェンスが機能。だが、佐々宜央ヘッドコーチは「水曜日には福岡を相手にふがいない負けを喫した中、リバウンドとルーズボールは絶対に負けないとこの試合に入って、要所でこの部分で流れをつかめました」と勝因をボールへの執着心であると語る。

ちなみに琉球は昨シーズンのレギュラーシーズン終盤、プレーオフのセミファイナルと船橋アリーナで4連敗を喫していた。この点を聞くと、「僕はこういうお客さんがたくさんいる環境でやると燃えてきます。ただ、ここで負けるとジンクスになってしまうので今日、勝ててよかったです」と、悪いジンクスを阻止できたことには安堵した様子だった。

一方、水曜の栃木ブレックス戦に続き接戦を落とした千葉の大野篤史ヘッドコーチは、敗因を次のように見ている。「ディフェンスのところから自分たちのトランディションに持っていきたかったですが、その前にターンオーバーや、ディフェンスの遂行力が低いことで、やられてはいけないところで点を取られてしまいました。そこが最後まで痛かったです」

また、千葉にとっては第2クォーター途中に西村文男が接触プレーで途中退場。その後は、第4クォーター中盤に復帰するが、これも「実際は途中で使いたくなかったですが、どうしても回せなかったので出てもらいました。少しのプレータイムでダメージがなければいいと思っています」と大野ヘッドコーチが語るように、止むを得ずの起用といった状況だった。小野の欠場が続き、富樫も先週の捻挫で万全のコンディションではないだけに、連敗ストップにはベンチメンバーのステップアップが求められるところだ。