宮崎早織

ラトビア代表との2試合目、苦しんでいた3ポイントシュートが遂に爆発する

バスケットボール女子日本代表は8月11日、12日にラトビア代表と強化試合を行い、2試合ともに大差で勝利を収めた。6月中旬に行われたトルコ代表との2試合と合わせ、日本代表は9月末に開催される『女子ワールドカップ2023』に向けての国内強化試合を相手がベストメンバーではないことを加味しないといけないが、4試合すべてで快勝している。

ここから、12名の本大会メンバー入りを巡る争いはいよいよ最終局面を迎える。その中でも最も激しい競争は現在、WNBAでプレーしている町田瑠唯、ラトビア戦に出場した安間志織、本橋菜子、山本麻衣、宮崎早織の5名で3枠を争うと見られるポイントガードだ。5人全員がそれぞれ実績十分で甲乙つけがたく、恩塚亨ヘッドコーチの選択には注目が集まる。

このハイレベルな争いの当事者の一人である宮崎は、ラトビア戦の初戦で4得点4アシストだったが、2試合目は3ポイントシュート4本すべて成功の12得点4アシストと持ち味である爆発力を発揮した。2試合目終了後の取材で、宮崎はこう振り返った。

「アジアカップから自分の持ち味があまり出せていないのと、調子の波があるというか、上のほうに行けない状態が続いていたのでずっと苦しかったです。その中でもずっと3ポイントシュートを(鈴木)良和(アシスタントコーチ)さんに教えてもらっていたので、それを出せて良かったと思います。昨日も良いタイミングで打てていましたが、練習中からあまりシュートタッチが良くなかったです。今日は練習中からタッチが良かったので、思い切って打てました」

また、鈴木アシスタンコーチとは次のことを意識して取り組んでいると明かす。「ドリブルからのシュートのバランスが良くなくて、そういうものをデータにまとめてもらっています。そして海外の選手は大きくて、スイッチディフェンスをされた時に間合いを一定に保って守ってドライブをさせてこようとしますが、それでもタフなシュートを決められるように練習をしてきました」

宮崎早織

厳しいメンバー争いで苦しい思いはあるが、「毎日が充実しています」

冒頭で紹介したポイントガードの5人は、全員がすでに確固たる実績を残しており、ハイレベルなポジション争いとなっている。だからこそ、ラトビア戦の前の取材対応で「合宿では毎日本当に苦しいです」と語っていた。

ただ、一方で同じ苦しさでも東京オリンピックの代表選考の時とは、気持ちの持ち方が大きく違っていると語る。「オリンピックの時は初めての代表でした。トム(ホーバス)さんのバスケットは知っていましたが、代表争いは初めてなのでどうやろうか不安だったり、怖かったです。あの経験があるからこそ、今は人と比べなかったり、他の選手の良いところを学んで毎日が充実していると思います」

東京オリンピック直後のアジアカップからここまで、宮崎は誰よりも恩塚ヘッドコーチの下で日本代表のユニフォームを身につけてプレーしている。「ずっと使っていただいていてうれしいですけど、まだまだ恩さんの求めているバスケットには近づけていなのかな。もっと勉強して求めているバスケットに馴染めるように頑張っていきたいです」

このように本人は謙遜するが、恩塚体制における自分のやるべきことについては明確なイメージを持てており、ゲームチェンジャーとして貢献していきたいと考えている。「ENEOSの時からスタートというより、途中から出場することが多かったです。代表でもスタート、途中とどのタイミングでコートに立っても流れを変えられる選手になりたい。アシストだけではなくて外から打てるシュート、スピードを生かしたプレーをもっと伸ばして12名に選んでいただけたらいいなと思います」

そして、ラトビア戦で久しぶりに代表復帰となった日本の大黒柱である渡嘉敷来夢とのコンビは、ENEOSでずっと一緒にプレーしているからこそ他の司令塔よりも自分が生かせるとの自負がある。「ずっと一緒にやらせていただいているので、そこは自信を持って、私がタク(渡嘉敷)さんのシュートに繋げられるアシストをしたいと思っています」

次に女子日本代表の試合を見ることができるのは、ワールドカップ本大会となる。その舞台に宮崎が立っているのか、ポイントガードに誰が選ばれるのかは大会前の大きな話題となるのは間違いない。