日本代表、台湾遠征総括「タイプが違う国に対応できた、貴重な海外での2連戦」

2016/11/14
Bリーグ&国内
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文・写真=小永吉陽子

世界48位の日本がW杯出場を果たすための『予行演習』

男子日本代表は、Bリーグのブレイク期間である11月9日から12日の日程で台湾遠征を行った。今回の遠征は、来年11月から行われるワールドカップ予選のシミュレーションを兼ねたもので、出発前日の練習を合わせると、4泊5日の強行スケジュールで行われた。

2019年に中国で開催されるワールドカップは、従来のようにアジア選手権の上位3カ国が出場権を得るのではなく、1年以上かけて6回の会期(2017年11月、2018年2月、6月、9月、11月、2019年2月)でホーム&アウェーで予選を行う方式に変更される。リーグ開催中の11月と2月にも予選があることから、日本はその対策として予行練習を行うことにした。次のワールドカップは絶対に出場しなくてはならないからだ。

2012年のロンドン五輪以降、FIBAは開催国の自動出場枠を与えていない。開催国の出場可否は、オリンピック開催の前年に決定される。ロンドン大会とリオ大会の例を見ると、開催国枠は競技力や強化内容の他に、協会の統括力を含めた『総合評価』によって判断されている。

「日本の男子はFIBAランク48位であることを認識して、スタンダードのレベルを上げなければならない」と言うJBA技術委員長、東野智弥の言葉にあるように、五輪出場権を得るためには、2019年のワールドカップに出場する実績は必須なのだ。

今夏に開催されたジョージ・ワシントン大戦での惨敗からも分かるように、日本は準備期間が短いとチームの共通理解を図れず、個々のパフォーマンスをなかなか発揮することができない。加えて、世界最終予選の直後では何を目指して戦うのか目的意識も薄く、モチベーションもコンディションも作ることができない反省があった。

ようやくチームが上向いてきたのが9月にイランで開催されたFIBAアジアチャレンジの頃。順位は6位だったが、帰化選手のアイラ・ブラウンが加入してリバウンド力が上がったことで、チームケミストリーができてきたのだ。

今やリーグに代表活動にと、1年中フル稼働しているエースの比江島慎にしても、「日本は数カ月練習してようやく夏以降にチームができてくるし、自分のコンディションも毎年9月頃に上がってくる」と語る。そんな準備が必要な国だからこそ、今回の遠征は貴重な予行練習になった。

タイプが違う台湾のクラブチームを相手に2連勝

台湾遠征のメンバー選考は、辻直人、比江島慎、アイラ・ブラウン、篠山竜青、満原優樹ら9月のアジアチャレンジでの主力を軸とし、「現在、リーグでパフォーマンスを出しているメンバーと、ビッグマンでは竹内(公輔、譲次)、太田(敦也)の次に絡んでくる選手」(長谷川健志ヘッドコーチ)という顔ぶれが選出された。日本代表初選出となった安藤誓哉、中東泰斗、笹山貴哉ら3人は、リーグでの躍進ぶりを見れば選出も納得できる。

今回の戦術的なテーマはアジアチャレンジからの継続で、速い展開を作ることをベースに、フロアバランスを良くして攻めどころを作り、フィニッシュまで持ち込むことの徹底だ。リーグでは外国人選手が得点するケースが多いが、日本代表では国内選手の攻め手を作らなくては戦えない。

相手は11月12日に開幕を控えた台湾のプロリーグSBL(Super Basketball League/超級籃球聯賽)の2チーム。長谷川ヘッドコーチによれば、当初は韓国の尚武(サンム=国軍体育部隊、KBLに所属する兵役中の選手で結成される軍隊チーム)が最有力だったが、尚武はKBLの2軍戦(Dリーグ)に参戦中のために実現には至らず、まだ開幕を迎えていないSBLに白羽の矢が立った。

結果は、1戦目は昨シーズン優勝の台湾ビールに86-68で快勝。2戦目は同6位の台湾銀行に69-63で競り勝った。1戦目に右太ももを打撲した荒尾岳以外は全員がプレータイムをシェアし、共通理解を図ろうとする姿勢が出た2連戦となった。とくに日本にとって収獲だったのは2戦目の台湾銀行戦だ。

初戦の台湾ビールはSBLの覇者であるが、ケガ人が多かったことから決して万全な戦力ではなかった。そのため、日本は走って快勝することができたが、2戦目の台湾銀行には218cmの外国籍選手を軸にドライブインで粘られ、簡単に勝つことはできなかった。

台湾銀行の許智超ヘッドコーチは台湾B代表の指揮官を数回務めているが、チーム作りには定評があり、その研究熱心さで対策をしっかりと練ってきた。ゾーンアタックが苦手な日本は、台湾銀行に2-1-2のゾーンプレスを仕掛けられると攻撃が止まるシーンもあった。そんな中で終盤、ブラウンのリバウンドと比江島の連続得点で突き放せたのは、日本の強みを打ち出せたという面で再確認ができた試合になった。

主な選手のスタッツ
vs台湾ビール(11月10日)
 アイラ・ブラウン 14得点8リバウンド
 満原優樹 13得点4リバウンド
 笹山貴哉 10得点4アシスト
 比江島慎 9得点2アシスト4スティール

vs台湾銀行(11月11日)
 比江島慎 15得点3アシスト
 満原優樹 15得点6リバウンド
 アイラ・ブラウン 8得点7リバウンド
 辻直人 8得点4アシスト

Bリーグの頑張りが代表入りにつながる相乗効果に期待

東野技術委員長は「今回はリーグ中の遠征だったことから、国内の戦いと違いがあることが改めて体感でき、やはり外に出てきた意味はあった。また安藤、中東、笹山らが初の代表とは思えないほど自分のパフォーマンスを出してくれて、収獲は多かった」と今遠征を評価した。その一方で、「ただ、ゴールアタックという面ではやはり物足りない。本番はもっとフィジカルが強い相手と戦うのだから」と要求は高い。

確かにそうなのだ。台湾は常にドライブを狙ってくる国で、たとえ勝利してもその運動量に振り回されることが多い。こうしたタイプの異なる国とリーグ中に戦うことで、Bリーグではもっと日本人選手がゴールにアタックしなければならないと、改めて気付かされることになる。台湾と何度も戦っている辻直人は手応えをこう語る。

「やっぱり台湾はコンタクトプレーが多い。日本では守れてしまうところでも体を寄せてくるので、スクリーンがかけられないところもあった。そういうコンタクトの強さを思い出しながら日本の良さである走ることを心がけたし、自分は世界最終予選から相手と駆け引きしようと試しているので、それはやれたと思う」

リーグを中断してアジア圏を飛行機で移動し、日本とは異なるスタイルを持つ国に対して、誰が出てもすぐに持ち味を出して相手に対応する。これがワールドカップ予選に求められることだ。まさしく、そうした状況をみずから経験しに行き、勝ち切れたことが今回の収穫だった。

来年2月には再びBリーグのブレイク期間がある。東野技術委員長によれば、「2月は海外からチームを招待して親善試合を行う予定」だという。長谷川ヘッドコーチは「ワールドカップ予選はリーグ中に行うのだから、その時にパフォーマンスのいい選手が出るべきで、ずっと調子が悪い選手に『次はない』と言いたい。今回、初選出された若手が頑張ったように、競争の効果が出た遠征になったと思う」と今遠征を総括した。

今週末から再開するBリーグでは、代表入りをかけて競争が起こるほどやり合うことを期待したい。