[NBA開幕プレビュー ラプターズ]指揮官もエースも交代、大改革はプラスに働くか

2018/10/19
NBA&海外
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ラプターズ

文=神高尚 写真=Getty Images

球団史上最高成績からさらなる変化を求めたオフ

フランチャイズプレーヤーとしてチームと相思相愛だったデマー・デローザンを放出してまでカワイ・レナードを獲得したラプターズ。ディフェンス面でも大きな貢献ができる新エースはプレシーズンですでにチームの中心として働いており、コート上でチームに馴染んだだけでなく、スパーズ時代よりも多くの言葉を発し、笑顔を見せており充実した雰囲気です。

しかし、充実しているのは新加入のレナードだけでなく、昨シーズンはローテーションから外れたノーマン・パウエルも同じで、他にもフレッド・バンブリートやパスカル・シアカムがベンチから出てきてスターターと変わらぬ活躍をしています。

選手の入れ替わり以上にニック・ナースが新ヘッドコーチに就任したことで、選手の組み合わせとオフェンスが変化した影響が大きく、カイル・ラウリーとデローザンのガードコンビを中心に崩していく形から、3人のウイングがオフボールで動き回り、誰もが仕掛けていく形に変更したことで、全員がより積極性を持ち始めています。長年好成績を収めたラプターズが求めたこのオフの変化は、ここまでプラスの方向に働いています。

昨シーズンまでは2人のガードと2人のビッグマンに1人のウイングの役割分担だったのが、今シーズンは1人のガードと1人のビッグマン、そして3人のウイングが基本。それぞれが決められた役割をこなしていくイメージの強かったオフェンスが、状況に応じて柔軟に判断していくことが増え、ヨナス・バランチュナスが3ポイントシュートのフェイクからドライブするプレーも出てきています。

また、この変更とヤコブ・パートルの移籍に伴い、昨シーズンの東カンファレンスの首位を奪う原動力になったリーグ最強のセカンドユニットが起用されることは減り、試合を通してスターターとベンチメンバーが混ざった選手構成になります。固定された5人でプレーすることでチームワークの良さが目立っていただけに、良い方向に転ぶかは不明ですが、プレーオフで結果が出なかっただけに新たな戦い方を模索しています。

選手起用の変更はディフェンス面にも影響してきます。ディフェンスの苦手なデローザンからレナードとグリーンになったことで単に個人のディフェンス力が向上しただけでなく、全体的にサイズアップしました。代わりにビッグマンが減ったこともあり、昨シーズンまではポジション毎の役割分担が明確だったのが、全員のカバーディフェンスとリバウンドが徹底されています。

もともとインサイド陣は強かったのですが、スピードへの対応力が低くスピードのミスマッチを利用されていました。レブロン・ジェームスに破壊されてきた苦い経験もあって、オールラウンドに守れるシステム構成を図っているのでしょう。

プレシーズンでは全員がインサイドに収縮する高い意識を感じた反面、アウトサイドを空けてしまったり、マークの受け渡しに失敗する場面も出るなど、選手個人の判断力を磨いていくことが必要です。ディフェンスはオフェンス以上に連携するのが難しいため、シーズン通して調整を重ね、試合終盤は相手のオフェンスに合わせたメンバーを選べるように完成度を高めたいです。

新人ヘッドコーチに求められるファイナル進出

役割が固定されていた昨シーズンまでよりも、攻守に個人の判断力を求めるような新システムですが、すでにチームとしての成熟度が高いラプターズだけに、柔軟な起用法も含めて選手たちは問題なく対応しています。

懸念されるのはヘッドコーチとしての経験がないニック・ナースが緊迫した試合展開の中でも適切な選手起用を行い、チームを勝利に導く冷静な采配ができるかどうか。プレシーズンゲームの内容は良かっただけに期待は持てますが、優秀な成績を残しながらも大事な試合で勝てなかったことが前任者の解任に繋がっただけに、シーズンを通して経験を積み、プレーオフで結果を残すことが求められます。

東カンファレンスでトップの成績を残しながらヘッドコーチとエースを交代させたラプターズ。目指すはプレーオフでの勝利のみ。新人ヘッドコーチのニック・ナースに課せられたミッションは非常に難しいものですが、これまでの良さを残しつつ、チームの進化に挑んでいます。

+++++注目すべき『脇役』+++++
OG・アヌノビー プレーオフではレブロンのマークを担当するなど高いディフェンス力を誇る3&Dタイプのウイングは、ドラフト時にはカワイ・レナードとも比較された。そのレナードがチームメイトになったことで更に能力を飛躍させたい。