琉球ゴールデンキングス

文・写真=鈴木栄一

ラストショットまで勝敗が見えない激戦に

10月12日、琉球ゴールデンキングスがホームで名古屋ダイヤモンドドルフィンズと対戦。最後の最後までもつれた激闘を88-87で制し、開幕3連勝を達成している。

第1クォーター、琉球は岸本隆一、古川孝敏の3ポイントシュートなどで13-3といきなり先行する。しかし、名古屋Dも安藤周人の連続3ポイントシュート成功などですぐに盛り返し、琉球の20-17でこのクォーターを終える。第2クォーター、琉球は並里成が得意のドライブからのレイアップなどで突き放しにかかる。だが、名古屋Dは、このクォーターだけで9得点を挙げたエースのジャスティン・バーレル、さらに満田丈太郎の3ポイントシュートで応戦。琉球の45-41と互角のままハーフタイムを迎える。

第3クォーターに入ると、名古屋Dは琉球のターンオーバーにつけこみ残り約6分には49-51と勝ち越すが、直後に琉球は橋本竜馬の連続得点でリードを奪い返し悪い流れを断ち切る。こうして試合は互いに譲らない攻防となって第4クォーター終盤に突入する。

同点で迎えた残り7秒、琉球は並里がフリースローを獲得し、1本目を外すが、2本目を成功に土壇場で再びリードを奪う。そして名古屋Dは最後の攻撃、本日22得点9リバウンド8アシストと後一歩でトリプルダブルだったバーレルにボールを預ける。バーレルはゴール下に切れ込んでシュートを放つが、惜しくもリングに嫌われて失敗。琉球が辛くも逃げ切り、ホーム開幕戦を勝利で飾った。

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「どちらが勝ってもおかしくない試合でした」

試合後、琉球の佐々宜央ヘッドコーチは、スタッツが示すように攻守において対照的なコメントだった。ジョシュ・スコットの21得点を筆頭に5人が9得点以上とバランス良く攻め、88得点を挙げたオフェンス面については高評価。「ホーム開幕試合は独特の雰囲気で、ホームの声援を力にできる一方、期待に応えなければいけない重圧があります。その中で、オフェンスは練習に続いて試合でも思い切りが良く、シュートのタッチも良かったです」

ただ、ノーマークで3ポイントシュートを打たれる場面も目立った守備については、「ディフェンスの内容は予想していた通り」と悪い意味での予感が的中。「第1クォーター、一番ゲームプランとしてやられてはいけないと警戒していた安藤選手に3ポイントシュートを3本決められてしまう。こういうゲームをしていたら勝ち続けていけないです。自分たちのディフェンスがどういったもので、メンバーが変わった中で、どうやって築き上げていけるのか。その課題を勝って反省できる」と厳しいコメントが続いている。

一方、名古屋の梶山信吾ヘッドコーチは、「最後のところ、どちらが勝ってもおかしくない試合でしたが、ディフェンスであともう少しの徹底が足りなかった。特に第4クォーターはもう一歩のところでイージーにやられてしまいました」と振り返る。

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輝きを放つ並里「もっと良い姿を見せたい」

この試合、最も輝きを放っていた選手は、bjリーグ時代の2014−15シーズン以来となるチーム復帰を果たした並里成。約26分半の出場でシュート10本中7本成功の16得点7アシスト3リバウンドを挙げ、攻撃の起点として躍動した。ただ、本人は「成長した姿を見せたかったですが、どんな状況でも落ち着いてプレーして試合に絡んでいけるようにならないと。第3クォーター、ターンオーバーで流れを崩してしまった部分があったのでもっと良い姿を見せたい」と満足している様子はない。

名古屋Dの梶山ヘッドコーチは「並里選手にはすごいエナジーを感じました。俺が決めてやるという気持ちが入っていて最後、彼にやられてしまいました」と称えながらも「明日、僕らがどうするのか楽しみにしておいてください」と並里封じへの闘志を燃やしていた。

本日の試合、並里が昨日のようなプレーを見せられるか、名古屋Dが抑え込むことができるのかも勝敗を分ける大きな鍵となってくるはずだ。