琉球ゴールデンキングス

10人でプレータイムをシェアしながら、全員がやるべきことを遂行して勝利

5月4日、琉球ゴールデンキングスがホームで千葉ジェッツと対戦。クラブ主管試合ではBリーグ史上最多8263人が詰めかける中、リバウンド争いを制して攻撃回数で上回るなど持ち味を存分に発揮した琉球が92-84で勝利した

互角の出だしとなったが、第2クォーターに入ると琉球はジャック・クーリーがオフェンスリバンドから押し込む形で3度得点するなどゴール下の肉弾戦を制圧。この結果、前半ではペイント内得点で28-8、セカンドチャンスポイントで15-0と大差をつけた琉球が45-32でハーフタイムを迎えた。

第3クォーターに入っても琉球の流れが続き開始3分半で14-2のランによりリードを25点にまで広げた。だが、千葉もここから富樫勇樹を起点としボールムーブが活性化することで反撃を開始。前半には見られなかったインサイドアタックが生まれ、ジョン・ムーニーがこのクォーターだけで13得点をマークし、第4クォーター序盤には6点差にまで詰め寄る。だが、琉球はこの日、30得点を挙げたドウェイン・エバンスが要所で得点を重ね、これ以上の追い上げを許さない。そして残り1分5秒、今村佳太が10点リードとなる勝利を確定させる3ポイントシュートを沈めた。

琉球ゴールデンキングス

クラブ主管試合ではBリーグ史上最多8263人が来場した沖縄アリーナ

すでにリーグ全体の勝率1位を確定させている琉球にとって、この日を含めた残り3試合は消化ゲームとなる。何よりも重視すべきは、心身ともによりベストな状態でチャンピオンシップに臨むことで、勝敗の優先度は低いのが通常だ。

しかし、この試合に限っては琉球の桶谷大ヘッドコーチが明かすように、勝ち負けが二の次とはなりづらい状況だった。「西地区優勝、全体1位シードを決めて残り3試合ある状況ですが、8200人以上のお客さんが来られる。その中で良いバスケットをやらないといけないですし、負けたままでチャンピオンシップに行くのは良くない。千葉さんには天皇杯で負けた借りもある。いろいろと複雑な要素がある中での試合でしたので、選手たちもプレーしていて難しかったと思います」

琉球はアレン・ダーラムがコンディション調整で欠場したこともあってベンチ入り10人全員でプレータイムをシェアした。先のことを考えた戦略を取りながらもリーグ屈指の難敵を撃破できたのは大きな収穫だった。指揮官は試合内容について高く評価する。「これをやろう、と言ったことを今日はみんなが高い意識でプレーしてくれました。最初から高いインテンシティを出す。常に冷静にボールをしっかり回してシュートで終わる。トランジションで簡単にやられないし、リバウンドを取る。誰が出てもそれをやれたことは一番素晴らしかったです」

琉球ゴールデンキングス

敗北の教訓を生かす勝利、今村佳太「負けから得た経験をステップアップの糧に」

琉球は4月30日の名古屋ダイヤモンドドルフィンズ戦、すでに地区優勝を決めていたとはいえ外国籍2人にアジア特別枠のレイ・パークスジュニアと主力3人を欠く相手に前半リードを奪いながら第3クォーターに失速しそのまま挽回できずに逆転負けを喫した。今回も第3クォーター途中に最大25点差をつけながら、そこから猛反撃をくらい第4クォーター序盤には2ポゼッション差にまで追い上げられる嫌な流れだった。

だが、今回は苦境になっても我慢して自分たちの戦い方を貫いたことで勝ち切った。負けの教訓を生かせたことに今村も手応えを感じている。「名古屋戦はピック&ロールでズレが作れないなど、自分たちの形が出せずオフェンスでフラストレーションを溜め、それがディフェンスのイージーな失点に繋がって崩れてしまいました。今日はディフェンス、リバウンドで40分間、集中力を切らさずにやりきった結果が勝利に繋がりました。この前の負けから得た経験をステップアップの糧にできています」

「鳥肌が立つ圧迫感がありました」(桶谷ヘッドコーチ)、「相手が受ける圧力は(5000人、6000人の時とは)まるで違ったものだと思います」(今村)と、8000人を超える沖縄アリーナが持つホームコートアドバンテージの力を体感できたことも大きい。琉球にとっては千葉に勝った、という結果に加え様々な意味で実りのある一戦となった。