富士通レッドウェーブの準優勝に貢献した町田瑠唯は、WNBAのワシントン・ミスティクスと合流し、現地5月6日に開幕する新シーズンに向けて準備を進めていく。ただ、新たなチームにアジャストすることは日本代表の町田であっても容易ではない。言葉の壁がある異国のチームであればなおさらだ。そんな町田の心強い味方となるのが、通訳を担当する武井樹だ。飛龍高校から東海大に進み、大学卒業後に単身渡米し、現在はNCAAディビジョン2サザンアーカンソー大学男子バスケットボール部GA(Graduate Assistant=大学院生コーチ)&プレイヤーデベロップメントコーチをしている。そんな武井に夢への近づき方や町田への思いなどを聞いた。

「アメリカを意識し始めたのは映画のスパイダーマンを見た時です」

──あらためて、自己紹介をお願いします。

東南アジアのバンコク(タイ)生まれです。父親の仕事の関係で6歳までバンコクで過ごし、その後、日本に帰ってきて小学校から中学校までを神奈川県で過ごし、高校は静岡県に行きました。

──バスケットボールを始めたのはいつからですか? また実績なども教えてください。

バスケは友達に誘われて小学校2年生からやっています。当時の実績は全くないです。ミニバス時代は県で優勝したこともないですし、ギリギリ県大会に出れるくらいのレベルでした。

──そこから名門の飛龍高校に行くことになった経緯を教えてください。

中学2年の時に飛龍高校と練習試合をする機会があって、3年生の時に僕と神奈川県選抜に選ばれていた選手の2人を欲しがってくれました。神奈川県でもいろいなオファーをいただいたのですが、飛龍を選ぶきっかけになったのはやはり原田(裕作)先生です。原田先生を見た瞬間に『この人だ!』って思ったんです。練習に行った瞬間にこの人のバスケットをやっていれば強くなるなと本当に思って、中学3年生でしたが僕なりの直感が働きました。

──原田先生がきっかけでアメリカ行きへの思いが芽生えたのでしょうか?

そうですね、ただ海外志向というのはタイにいた時からずっと持っていました。タイは観光地なので、そこでヨーロッパの人やアメリカ人がカフェテリアでサングラスをかけてコーヒーを飲んだりしていて、めちゃくちゃかっこいいなって思っていたんです。もともと英語はすごい好きで英語を学びたいからアメリカに行きたい、アメリカで学びたい、アメリカで仕事をしたいとは思っていました。アメリカを意識し始めたのは小学校低学年の時に映画のスパイダーマンを見た時ですね。スパイダーマンがワァーっと糸を使いながらニューヨークの摩天楼を移動するシーンを見た時にアメリカの虜になりました。

原田先生がアメリカに行ってロサンゼルスでコーチとして指導をしたというのを聞いて、『アメリカ!』となりました。実際にアメリカを経験した人に直接話を聞きたいと思ったんです。

──その後、東海大へ進学しましたが、そこからアメリカに行くまでの経緯を教えてください。

僕は身長が160cmしかなく一番小さかったんですけど、それでもBチームに入れていただいて、2年生の時に新人戦にも出させていただきました。でも大学2年の後半に左足を骨折してしまいました。復帰してやるという野心もあったんですけど、手術もして全くプレーできずにいました。3年になって、病院にいる間がキャリアプランをどうするかみたいな、自分自身と向き合う良い時間になったんです。その時に本当にアメリカに行くと決意し、大学4年の最初にバスケ部は引退しました。

アメリカに行くために100万円を稼ぐためにバイトに励みました。教育実習で飛龍にも行きました。バスケはせず 、教員免許を取りながら、バイトを3つ掛け持ちしてお金を貯めるのに集中して卒業しました。アメリカに行く8月までは、卒業してからもずっとバイトしていました。

武井樹

「すべてを犠牲にして勉強した自信はあります」

──準備が整い、渡米することになりましたが、そのまま大学に入学したのですか?

最初は大学でも大学院でもなく、大学に入学するための準備をする学校に入りました。そこで大学バスケのコーチになるのが1つの目標となりました。学費が安く、ディビジョン1よりも選手と触れ合えて知識がつくと思い、ディビジョン2のサザンアーカンソー大学院に4月に入学しました。

──当然、すべてのコミュニケーションは英語で行いますよね。英語の準備は大変ではなかったですか?

日本にいた頃は毎日勉強していたので。それこそすべてを犠牲にして勉強して、狂ってると言えるくらいやった自信はあります。完璧ではなかったですが、相応の準備をした自信があったので、そこまで言葉の壁はなかったです。

英語でスピーチしてる人がかっこいいなと思った時にそれを真似てみたり、小さい頃から人前で英語をしゃべる練習を家の中でやっていました。めちゃくちゃ速いけど、エミネムの歌詞を勉強してみたり。楽しみながらですが、それこそ10年以上かけて準備はしてきました。

──海外に挑戦しようとしている人だったり、英語を習得したいと思っている人へ何かアドバイスはありますか?

日本の媒体を見ない、携帯の言語設定を英語にするというのは一番最初にしてほしいですね。携帯の言語設定が日本語のままでアメリカに行きたいと言ったら、僕はあまり信じないです。僕はアメリカに行ったかのような気持ちでいたり、独り言を全部英語で言っていたりしました。それぐらいの気持ちでやらないと難しいと思います。

──『野望を現実に』というハッシュタグをSNSで使っていますが、野心や野望が足りない子たちにアドバイスをお願いします。

自信は持った方がいいと思うんですけど、自分のエゴとかプライドは全部捨てた方がいいと思います。壁にぶち当たった時に自分のエゴが邪魔することがあるので。どこかでやられたりして、それでも立ち直る勇気は確実に必要です。言葉の壁がある場合、言い返せない時にそれが本当にプレッシャーになることもあるので、それを跳ね返すくらいの気持ちを日本にいる時から持つという準備は大切だと思います。

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