「今回の合宿では、まずは自分を出そうと決めている」
昨夏の今村佳太は東京オリンピックに向けた32人の候補選手に名を連ねたが、代表合宿をスタートさせる際の20人には残れなかった。オリンピック後に日本代表のヘッドコーチがトム・ホーバスに代わり、昨秋のワールドカップ予選Window1の合宿招集メンバー25名にも選ばれたが、ロスター入りはかなわず。プロキャリアは5年目で、年齢的にも26歳と中堅に差し掛かりつつあり、いつまでも『有望株』ではいられない。しかし彼は、代表落選を新たなエネルギーに変えて、琉球でのパフォーマンスを高めてきた。
「前回合宿ではすごく悔しい思いをしました。その悔しさをシーズン中に出した結果、今回もまた呼んでいただけたのは光栄ですし、感謝もしています。積極的に3ポイントシュートを打ってほしいと言われているので、そこは躊躇したくないですし、そこがチームのためになるプレーに繋げられればベストだと思っています」
それと同時にホーバスのバスケに自分のプレースタイルがフィットすると考えている。「自分は3ポイントシュートの得点力とディフェンスが強みなので、そこはすごくフィットしていると思います。自分の強みを出せるプレータイムは限られますが、得点力の部分での爆発力は強みになると思います。躊躇してしまったらチャンスはどんどんなくなってしまう。まずは自分の特徴である、アグレッシブにプレーすることが大切になります」
Window1での落選は彼の意識を変え、それが今回のロスター入りに繋がった。「前回の合宿ではトムさんのバスケにフィットしようとしすぎて自分を出せなかったのがすごく反省点で、今回の合宿ではフィットするのも大切なんですけど、まずは自分を出そうと決めていて、その意気込みで合宿に参加したことが一つ結果に繋がったと思います。自分の中で変えた部分はすごく大きくて、合宿で何も躊躇することなくプレーした結果だし、それは続けていきたいです」
日本代表で何度も悔しい経験をしながらも、次のチャンスを逃さないように努力を続けられるのが今村の強みで、前回もWindow1で外れた後に琉球に戻っての試合で「ここから見返してやろうというメンタリティになりました」と語り、言葉だけでなくパフォーマンスをより高めてもいる。
Window1も今回のWindow2も、フリオ・ラマス体制だったオリンピックメンバーはほとんど残らず、日本代表の顔ぶれは大きく変わっている。それでいて世代交代を強く推し進めているわけではなく、トム・ホーバスは自分のスタイルに合い、なおかつBリーグで結果を残している選手をピックアップしている。今村にとって今回の2試合が大きなチャンスであることは言うまでもない。
そしてもう一つ、今の今村には『沖縄でプレーする』ことが特別なモチベーションになっている。「キングスは沖縄を元気にするというコンセプトでやっているんですけど、その選手が日本代表のユニフォームを着てプレーすれば、もっと沖縄を元気にできると思います。沖縄県を代表してプレーさせていただけることで、皆さんの期待も増えると思うので、すごく責任があると思っています」
今回のWindow2はもちろん、来年のワールドカップ本大会の舞台も沖縄アリーナとなる。琉球ゴールデンキングスの一員として培った力、悔しい思いも含めて積み重ねてきた経験を余すところなく発揮するパフォーマンスを見せてもらいたい。