
ケガのフォックスに代わっての先発起用に応える
スパーズのバックコートで経験豊富と呼べる唯一の選手、ディアロン・フォックスが足首のケガで欠場となったカンファレンスファイナル第1戦。重要な試合の開始約1時間前に、ディラン・ハーパーは先発起用を告げられた。
昨年のNBAドラフトで1巡目2位指名を受けた彼は、ルーキーイヤーに69試合に出場するも、先発は4試合のみ。それでもプレータイムはレギュラーシーズンの22.7分からプレーオフに入って25.2分へと伸び、守備が強調されてプレー強度が上がっても通用していた。
それでもプレーオフ初先発で、しかもカンファレンスファイナルという大舞台では、プレッシャーに圧し潰されてもおかしくない。「雰囲気に圧倒されて消極的になるのは嫌だった。だから他の試合と同じように、後ろに下がらず積極的に、自分らしくプレーしようとした」と彼は言う。
結果としてハーパーは47分の出場で24得点11リバウンド6アシスト7スティールを記録。バックコートで組んだステフォン・キャッスルは11アシストを記録した一方で11ターンオーバーとミスが目立ったが、ハーパーのターンオーバーはわずか1。サンダーの苛烈なプレッシャーディフェンスを打ち破れず時間を浪費し、良いプレーメークができない場面はあったが、ディフレクションを許してもすぐさまボールを奪い返すなど、『常に積極的に』の言葉通りのプレーでミスを最小限に食い止めた。
「第4クォーターの際どい場面でボールをキープし続けられた理由は、実は自分でもよく分からない(笑)。『絶対にターンオーバーはしない』という一心だった。ああいう勝負どころは『勝ちたい』という気持ち次第のところがあって、僕の意思が上回ったんだと思う。自分らしくプレーしてあの場面を乗り切ったことは大きな自信になるよ」
高い順位で指名されるルーキーは、ほとんどの場合は再建チームに入り、出場機会は得られてもプレーオフに出場し、そこで勝ち進むことはできない。スパーズのルーキーがカンファレンスファイナルで先発した例は過去にただ一人、2011-12シーズンのカワイ・レナードだけだ。
ハーパーはボール運びとパス、得点とリバウンドで貢献し、7スティールという傑出した数字も残した。スパーズはスイッチを多用してサンダーの素早いパス回しに対応し、MVPのシェイ・ギルジャス・アレクサンダーには常にフレッシュな選手がマークしてスタミナを削った。その中でハーパーはピック&ロールに対する鋭い出足の守備でスティールを連発し、ダブルオーバータイムの末の勝利に貢献した。
「今日のディフェンスの連動は素晴らしかった」とハーパーは言う。「それが僕たちの持ち味だし、試合が終盤になればなるほど、僕たちはディフェンスの連動性に頼る。単なる1対1の守備ではなく、チームディフェンスを徹底できたのが今日の勝因だと思う」
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— San Antonio Spurs (@spurs) May 19, 2026
今シーズンのルーキー・オブ・ザ・イヤーは、コン・クヌッペルに競り勝ったクーパー・フラッグが受賞した。3位はVJ・エッジコムで、ハーパーはこの3人から大きく引き離されての4位に終わっている。3人のようにエース級の役割を果たしたわけではないハーパーに票が集まらないのは無理もないが、スパーズの指揮官ミッチ・ジョンソンは「私はディランを今年のルーキーのトップに置くよ」と自信満々で語った。
「開幕時点でディランには十分な実力があったが、このリーグで長く活躍するための基礎を学び、身体強化をさせたかった。同期の選手たちが派手に活躍して話題になるのを見ながらも、彼は我々のやり方を信じてくれた。皆さんが今日見たのが彼の本当の実力だ」
ハーパーは『スパーズ流の育成』を信じ、その成果がカンファレンスファイナル初戦という大舞台で出たことを素直に喜ぶ。「世界で一番意味のあることをやったと感じている。素晴らしいクラブ、素晴らしい仲間たちの一員になれたのは幸運だ。他のチームでプレーできていれば良かったなんて一度も考えなかった。ここが自分のいるべき場所だよ」
「シーズンを通して、今日のような瞬間のために努力してきた。周囲に理解されなくても、僕はこの方法が勝利に繋がると信じていた」
父のロン・ハーパーはキャリアを通じて5度のNBA優勝を勝ち取った。ディラン・ハーパーは偉大なる父親の道を追っている。