「最終的に勝つイメージを持ってプレーできていた」
7月18日、女子バスケットボール日本代表は『FIBA女子アジアカップ2025』の準決勝進出決定戦でニュージーランドと対戦し、77-62で勝利した。
日本代表は第2クォーター序盤に3ポイントシュート攻勢で主導権を握るが、ターンオーバーが続いて自分たちからリズムを崩し、前半を39-41と互角の展開で終える。しかし、後半に入るとディフェンスからリズムを取り戻し、このクォーターで22-8と一気に突き放す。後半でわずか21失点と強度の高いディフェンスを続けることで勝利した。
第3クォーター、日本に勢いをもたらしたのがポイントガードの川井麻衣だ。このクォーター残り6分半、日本2点リードの状況でコートに入った川井は直後に3ポイントシュートを沈めると、さらにデンソーアイリスのチームメートである髙田真希に息の合ったプレーでアシストを2本決め、リードを2桁に広げる攻勢を作り出し、ゲームチェンジャーの役割を果たした。
川井は12分半の出場で5️得点6アシストを記録。「ここで負けたら次がない状態で少し固い部分もありましたが、後半にしっかりアジャストできたのが全体として良かった」と振り返る。
一発勝負のトーナメントで前半を重苦しい展開で終え、プレッシャーのかかる状況だったが、「最終的に自分たちが勝つイメージを持ってプレーできていたので不安はなかったです」と冷静にプレーできたと続ける。
見事な繋ぎ役を果たした自らのプレーには、「5人で攻めるのが日本の強み」という意識があった。「ボールを止めて1対1をするよりパスを回す。他のメンバーにストレスなくプレーしてほしいので、自分が入ったらテンポを上げて、ボールをシェアしようと考えていました」
「今までやってきたことを試合で出す準備をして」
この言葉通り、川井が軽快にパスをさばくことで、人とボールが動く日本のやりたいオフェンスが生まれた。その上でシュートチャンスではしっかりと打ち切った。「短いプレータイムの中で何かを残したいです。今日は良い意味で考えすぎずに狙えるところは狙っていき、それで気持ち良く3ポイントシュートが打てました」
今日、日本時間20時半からは今大会の最大の山場とも言うべき中国戦を迎える。「ホームの中国戦で応援もすごくなると思います。日本のバスケットをしっかりと見せつけてアウェーの雰囲気、相手の高さに負けずスピードで勝負して自分たちらしく笑顔で終わりたいです」
これまで川井は日本代表の強化合宿に何度も招集されるが、本大会の12名からあと一歩で漏れることが多く、パリオリンピックの最終予選では12名のメンバー入りを果たすもプレータイムが少なく爪痕を残せなかった。だが、今回のアジアカップではローテーション入りを果たし、これまでの代表活動で最も多くの出番をつかんでいる。
「今まではメンバーに入ったとしてもゲームに出られなかったり悔しい経験をしてきました。今回、自分にしかない良さをしっかり表現できるチャンスと思っています。そこで気負いすぎず、今までやってきたことを試合を出す準備をして、毎試合に臨んでいます」
今大会で先発ポイントガードを務める田中こころは個の打開力が最大の持ち味で、この試合でも17得点を記録。一方の川井はチームメートをオフェンスに絡めていくパスが一番の魅力だ。中国戦でもお互いに自分らしさを前面に押し出すことで違いを生み出し、日本のオフェンスに良い流れをもたらしてもらいたい。