昨シーズン、横浜エクセレンスは45勝7敗でB3プレーオフに進出。セミファイナルで死闘の末に岩手ビッグブルズを下しB2昇格を決め、ファイナルではアースフレンズ東京Zを退けてB3優勝の栄冠に輝いた。大橋大空は加入1年目ながらキャプテンを務め、全試合に先発出場。前年まで在籍した島根スサノオマジックでは出場機会が少なかったが、新天地でチームを牽引した。「アップダウンがあったシーズン」と評しながらも大きく成長した昨シーズンの振り返りと、初挑戦となるB2の舞台への展望を聞いた。
「チームメートに助けられた」
──B2昇格とB3優勝おめでとうございます。チームとして昨シーズンを振り返ると、どのようなシーズンでしたか?
メンバーの多くが入れ替わり、ゼロからのスタートでした。プレシーズンゲームは一度も勝てず、「本当に大丈夫かな?」という思いで迎えた開幕戦も落としてしまいましたが、そこで危機感が生まれました。全員が「B2昇格しないといけない、B3優勝しないといけない」という思いが強くなり、力を出せました。チーム全体でのミーティングの回数を増やし、よりいっそう引き締まった感じです。
──板橋真平選手がシーズン前に大ケガでインジュアリーリストに入り、開幕直後に平良彰吾選手が琉球ゴールデンキングスへレンタル移籍。同ポジションの選手が減り、大橋選手の負担も大きかったと思います。
板橋選手はチームにとって大事なピースでしたし、平良選手のレンタル移籍もチームとしては痛手でしたが、その分、僕が頑張らなきゃいけないという責任感が生まれました。ポイントガードを任せられ、チームを引っ張っていく意志が強くなったので、個人としては大きく成長できましたし、良い経験になりました。
──具体的に成長できたと感じる部分はどこですか?
河合竜児ヘッドコーチにも言われていたことですが、コートの中で年齢に関係なくポイントガードとしてしゃべる、指示を出すといったゲームコントロールは、シーズンを通じて一番成長できたところです。
──大橋選手は英語を話せるので、外国籍選手とのコミュニケーションを含めチーム内で重要な役割を担ったかと思います。
ヘッドコーチから、タイムアウトを取らなくても、フリースローの間やボールがデッドになった時は5人でハドルを組んで会話をするように言われていたので、その中で自分がチームメートに伝えたり指示をすることは多かったですね。
──最終的に結果が出たシーズンでしたが、シーズン中にキャプテンとして悩むことはありましたか?
勝ってこそいましたが、決して毎回良い勝ち方をできたわけではありませんでした。結果だけを見れば大差で勝った試合も、スタッツを見た時に自分たちが思い描いているバスケではなかったり、エースのトレイ・ボイドにボール集まってしまう試合も多く、改善が必要でした。毎試合課題を持ってやっていましたが、クリアできたりできなかったりのアップダウンはあったかなと思います。
──前半に点差をつけられたり、要所で流れを奪われる試合も少なくなったですが、ゲーム内でしっかり修正して逆転勝利する力がありました。その理由はなんでしょうか?
ベテラン選手が多かったことと、コート内での修正能力が他のチームより高かったことだと思います。何かあればすぐにハドル組み、「次は何をするのか」と全員が共通意識を持ってやれていました。キャプテンとしても、ポイントガードとしても、チームメートに助けられたなと感じています。
「まずはプレーオフのホーム開催を目指す」
──移籍初年度のキャプテン就任でしたし、不安なことも多かったと思います。
学生時代からキャプテンの経験はありましたが、プロの舞台では大役に感じました。シーズン序盤は「どうしよう」という不安な気持ちがプレーにも出ていたかもしれません。でも、プレーしていくうちに「背中で見せるんだ」と気持ちが吹っ切れて、結果的に良くなったと思います。前所属チームではプレータイムが少なくどかしさがありましたが、今シーズンは試合に出られる楽しさが練習の質の向上にもつながりました。
──河合ヘッドコーチとの信頼関係は厚いと思いますが、大橋選手から見てどんなコーチですか?
すごく熱いコーチで、良いところは良いと伝えてくれるし、みんなの力を引き出そうとしてくれます。選手の特徴を大事にして「得意なことをどんどんやって良いよ」と言ってくれるスタイルが僕はすごく好きで、コミュニケーションも取りやすいです。
──新シーズンの目標について、すでにチーム内で話していますか?
B2優勝が一番の大きい目標です。そのためにもまずはプレーオフ出場を見据えてやっていきたいです。ホーム開催を目指しているので、地区の上位2チームに入ることを目標にチーム全員で共通認識を持って戦います。
──カテゴリーが変わり、昨シーズンよりも厳しい試合も増えるかもしれません。その中でブレずにやっていくことはありますか?
僕たちの一番の魅力は「チーム力」です。チームでのコミュニケーションがしっかり取れた結果、勝ちに繋がった試合も多かったので、コート内でお互いの気持ちを伝えることはブラさずに、チームで戦っていきたいですね。
──長らくチームを引っ張ってきた増子匠選手が退団し、メンバーが若返りました。その影響はあると感じますか?
年齢層が下がったのは事実ですが、若い選手が多い分、より激しいバスケができると前向きに捉えています。僕らのアイデンティティである前からのプレッシャーディフェンスを、誰が出てもできるようになったことが強みになってくると思います。
「会場の盛り上がりは本当にすごすぎる」
──大橋選手は島根でB1を経験し、昨シーズンはB3。B2は初めてですが、楽しみなマッチアップはありますか?
開幕戦の福島ファイヤーボンズには島根時代のチームメート、ワイリー光希スカイがいます。彼と久しぶりに会うのが楽しみですね。
──新シーズンに向けて、個人としてはどのようなプレーを見せていきたいですか?
ボイド選手やエライジャ・ウィリアムス選手など得点能力が高い選手がいるので、僕がシュートを狙っていくことで他の選手のオープンも作れればと思います。どれだけ気持ちよくチームメートにパスを渡せるかが一番の仕事なので、B2の舞台で自分を表現できるかは重要です。
──チームとしてはどうでしょうか?
激しいバスケ、より速い展開のバスケをしていきたいと河合ヘッドコーチとも話しています。B2で一番速いバスケをするチームになりたいですね。
──ホームアリーナの横浜武道館の熱気はシーズンを通して際立っていました。特にプレーオフでは勝負どころの応援は本当にすごかったです。大橋選手ご自身は、横浜EXファンの応援をどのように感じましたか?
実は移籍当初、「B3はお客さんが少ない」と聞いていました。でも、実際に来てみて、エクセレンスの会場の盛り上がりは本当にすごすぎて、びっくりしました。島根の会場とはまた違った盛り上がりがあります。会場全体に一体感が生まれているのが印象的です。
──最後に応援してくださっている方にメッセージをお願いします。
今シーズンから舞台がB2となり、昨シーズンよりも厳しい戦いが待っていると思います。シーズンを戦い抜き、勝ち抜くためにもファンの皆さんの応援が必要になってきます。ぜひ一試合でも多く会場に足を運んでいただき、一緒に戦ってくれると僕たちも頑張れますので、応援よろしくお願いします。