森川正明は、横浜ビー・コルセアーズの日本人エースとして存在感を示している。横浜BC加入1年目にはクラブのBリーグ最多勝利数に大きく貢献し、2年目の昨シーズンはその記録をさらに更新。チーム、個人としても充実期を迎えつつあると思われていた最中、今オフに一度、双方合意の上で契約解除となった。結果的には横浜BC残留となったが、当時の心境や昨シーズンのこと、そして新シーズンに向けた意気込みを聞いた。
「このチームでCSに出るのが今シーズンは一番の選択じゃないかと考えた」
――5月に森川選手の自由交渉選手リスト入りが発表された時は驚きましたが、その1週間後には契約継続が発表されました。契約締結のリリースには「30歳を過ぎ、選手としてプレーできる時間はそう長くはない」、「自分自身を見つめ直す必要がある」といった言葉が綴られていました。
僕も30歳になり、残りのキャリアはそこまで長くないと思っていて、もう一度今後のキャリアについて考えようと思いました。フロントスタッフに「一度考えさせてください」と申し出をして。自由交渉選手リストに載せて、いろんなオファーが来た時に自分にとって何が最善の選択かを考えたかったのが率直なところでした。正直、バスケットのことや家族のことなど全部ひっくるめて、このまま横浜BCに残るべきなのか、移籍して違うところに身を置く方が良いのかは、1シーズンが終わるごとに考えたいと思っていたんです。リリースの感じだと「移籍しますよ」というニュアンスにとわられた方がいたかもしれないですけど決してそうではなくて、チーム側も僕の申し出を承諾してくれての流れでした。
その中で、竹田(謙)GMや青木(勇人)ヘッドコーチからの「残ってほしい」という熱意をすごく感じて。いろいろと考えることはありましたけど、昨シーズンは本当に悔しい思いをしたので、横浜BCに残って借りを返したいという気持ちが大きくなり、このチームでチャンピオンシップに出るのが今シーズンは一番の選択じゃないかと考えて残留を決意しました。
――自由交渉選手リスト入りを選択することは不安などありませんでしたか?
ありましたね。正直、いざ自由交渉選手リストに載せると決意して、実際に複数の球団からオファーが来ましたけど、そこで悩んだ時はものすごくメンタル的にキツかったです。移籍するにしても成功するかダメになるかは自分次第ですし、先のことは分からないからどうしても不安になるというか。その期間は個人的に結構しんどかったですね。
「自分のパフォーマンスが落ちていき、迷いが出たり弱気になってしまった」
――では、プレー面の話を聞かせてください。昨シーズンの横浜BCは22勝35敗を記録し、クラブ史上Bリーグ最多勝利数を更新しました。
チームとしてはシーズン最多勝利となり、Bリーグ通算100勝を達成して節目のシーズンとなりましたし、ステップアップできたシーズンだったと思います。その前の2020-21シーズンは試合中盤で勝敗が決してしまうようなワンサイドゲームがあり、ブースターの方に申し訳ない試合が多かったです。でも、昨シーズンは良いゲームもたくさんあって、上位チームとも戦えたゲームがありました。あと一歩というところもありましたけど、そこはもっと自分たちのバスケットを突き詰めていけば上位チームにも勝つ力があるチームだとシーズン中に感じました。河村勇輝とキング開が入ってタレント力が上がったのはもちろんですが、チームとしてのコミュニケーションやケミストリーは僕の移籍1年目のシーズンよりは良かったですね。
その反面、チーム力やタレントを考えると、もっとやれたという気持ちもありました。シーズン序盤は良い入りができていましたが、シーズン中盤、後半に差し掛かってくると、スカウティングもあり、チームとして失速してしまったのがもったいなかったです。
――個人的にはどんなシーズンでしたか?
チームと同様に僕もシーズン序盤は手応えを感じるパフォーマンスができていました。ただ、日本代表候補の合宿に参加して以降のシーズン中盤、後半にかけて自分自身のマークもすごく厳しくなってきて。その中でもっと打開できる場面や自分が強く引っ張らないといけないシーンが多々ありました。でも、どうしても相手のディフェンスやスカウティングに負けてしまうところがあって、そこから自分自身のパフォーマンスが落ちていき、すごく迷いが出たり弱気になってしまったんです。自分にとってシーズン後半は悪循環に落ちるようなメンタルになってしまい、課題が残ったシーズンでした。
――悪循環に陥った状況を乗り越えられたんですか?
いや、なかなかそのきっかけをつかめないままシーズンが終わってしまいました。自分自身がチームの足を引っ張っているのは感じていたので、どんどん自分でメンタル的にも落ちてしまって。スタッツはある程度残ったかもしれないですが、メンタルの修正をできないままシーズンを終えたので本当に悔しさしか残らないシーズンだったかなと思います。
「おとなしい選手が多いので、チームを盛り上げるところは一役買っていこうかな」
――昨シーズンの悔しさは新シーズンでしか晴らせないと思います。今はどんな心境ですか?
今は次のシーズンが始まるのがすごく楽しみですし、ここまで良い準備ができていると思います。移籍もありメンバーは入れ替わりしましたが、昨シーズンからいるメンバーも結構多いので、チームのケミストリーはすごく感じています。その中で新加入の選手が自分たちの持ち味を練習中から出してくれているので、良い雰囲気で練習できています。僕自身のコンディションも上がっていて、早く試合がしたいなという気持ちです。
――今シーズンの横浜BCの強みはどこにありますか?
チームの大きな武器である河村選手とキング選手がメンバーとしてシーズン始めからいるので、彼らを中心にというか。若い力や勇輝を中心とした速い展開のバスケを見せていきたいです。あと、ディフェンスの意識は年々高くなってきています。アルバルク東京からジャレ(イゴア・ジャレティッチ)アシスタントコーチが加入してきて、ハードなディフェンスからトランジションでオフェンスに繋げるところは、今すごく取り組んでいます。そこが今シーズンの強みになると思います。
――個人的にはどんなシーズンにしていきたいですか?
日本人選手としては最年長なので、チームを引っ張っていきたいです。それに、今シーズンこそはチャンピオンシップに出場したいので、自分が一つの戦力としてチームに貢献していきたいです。昨シーズンは相手から激しいディフェンスを受けてパフォーマンスを落としたのが課題だったので、今はフィジカルをもっと強くすることを意識して取り組んでいます。持ち味のアウトサイドシュートは昨シーズン以上に伸ばして、かつもっとフィジカルにドライブでペイントアタックするプレーを増やしていきたいです。
――では、スタッツ面での目標値はどうでしょう? 昨シーズンは平均10.7得点、2.0リバウンド、2.0アシスト、3ポイントシュート成功率42.9%でした。
得点面はもちろん昨シーズンより伸ばしたいですし、2桁得点を最低限の基準と考えています。リバウンドはもうちょっと頑張りたいですね。数字としては1、2は伸ばせたらなと思います。
僕自身はオフェンシブな選手なので、シュート確率はしっかり考えないといけません。個人的には50-40-90を定めていて、フィールドゴール50%、3ポイントシュート40%、フリースロー90%を目指していきたいですね。3ポイントシュートに関しては昨シーズンが42.9%だったので、もっと伸ばして45%に乗せて行きたいです。
――今シーズンは横浜BCで迎える3年目になります。あらためてファンの人に「こんなところを見てほしい」というポイントはありますか?
若い選手が多いチームですけど、ちょっとおとなしい選手が多いので(笑)、チームを盛り上げるところでは僕が一役買っていこうかなと。チームの楽しい雰囲気を出しつつ、プレーでは常に強気で引っ張っていきたいです。昨シーズン以上にアグレッシブなプレーを見てもらって、盛り上げるところはブースターの方と一緒にやっていきたいです。
――横浜BCのファンの方は熱量がすごいので、一緒に盛り上げることができたら大きいですね。
大きいですよね。ホームのブースターの応援ってすごく大きいんですよ。だから、やっぱりコロナ前のあの熱い雰囲気をまた味わいたいなとは思います。あのパワーを受けてプレーすると本当に力になりますし、選手にとってはすごく幸せなことです。なのでBリーグ全体もですけど、横浜BCからしっかり盛り上げていきたいです。
――では、最後にファンの皆さんへのメッセージをお願いします。
今シーズンは、本当になんとしてもチャンピオンシップに出たい気持ちが今まで以上に強いです。昨シーズンのチャンピオンシップを見ていましたけど、やっぱりあの舞台で戦ってこそだなと感じました。コロナ禍でどうなるか分からないですが、会場で応援していただけると本当に力になります。今シーズンはブースターの方々と一緒にチャンピオンシップの舞台に立ちたいと思っているので一緒に戦ってほしいなと思います。
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