祖父の葬式に出て2試合を欠場「家族のためにも笑顔でプレーしたかった」
トレイルブレイザーズは非常に難しい時期に差し掛かっている。エースのデイミアン・リラードは腹部のケガのリハビリを優先し、敵地での6連戦にチームに帯同しない。肺の病気から復帰間近のCJ・マッカラムも現地1月15日のウィザーズ戦には間に合わず。ノーマン・パウエルは健康安全プロトコルで、ラリー・ナンスJr.は足首を痛めて離脱中だ。
ロード6連戦の初戦となった現地13日のナゲッツ戦では32点差の大敗。それでも続くウィザーズ戦では115-110のスコア以上の完勝を収めた。勝利の立役者となったのはキャリア4年目、22歳のアンファニー・サイモンズだ。祖父が亡くなり2試合を欠場していたが、この試合から復帰。「まだ悲しみの中にいる家族のためにも、僕は笑顔で良いプレーをしたかった」と彼は言う。
サイモンズは第1クォーターで11得点、第2クォーターで15得点を荒稼ぎ。前半は14本中9本のシュートを沈め、6アシストも記録してオフェンスの起爆剤となった。サイモンズは「相手が引いてディフェンスしていたから、僕の得意な位置から打つことができた。あの状況ならいくらでも打ちたい」と笑顔で前半のパフォーマンスを振り返った。
ウィザーズはエースのブラッドリー・ビールに加え、ヘッドコーチのウェス・アンセルドJr.も健康安全プロトコル入りで欠場。代わって指揮を執ったアシスタントコーチのパット・デレイニーは「彼を快適にプレーさせてしまった。正直に言って我々のディフェンスの不備が多すぎた。その代償を払わされた」とサイモンズの活躍を語る。
後半、ウィザーズはサイモンズへの警戒を強めたが、ブレイザーズはこれを逆に突いた。サイモンズは前半とはプレーを変え、分厚いマークを前に強引に攻めるのではなくパスを選択。彼のシュート数は半減したが、ナシール・リトルやベン・マクレモアが得点を重ねてリードを広げた。第3クォーター終了時点で94-80、終盤に点差を詰められたものの、残り1分で2ポゼッション差まで詰められたところでサイモンズがフリースローを沈めて決着を付けた。
サイモンズはプレータイムが40分まで伸び、31得点11アシストのダブル・ダブルを記録。ここまで先発は8試合、平均プレータイムも26分しかないが、チャンスを与えられれば結果を出せることを証明した。
「もちろん、前半はすごい出来だったね」とサイモンズは試合後の会見で語る。「後半に相手が対応してくるのは分かっていた。実際に僕がトップ・オブ・ザ・キーでボールを持つとダブルチームで来て、フローターを打つのも簡単じゃなかった。シュートでは苦労したけど、僕に2人来れば誰か1人は空くのだから、冷静にそれを見極めたんだ。いつもはデイム(リラード)がやっているから、みんなそういうプレーには慣れているよ」
次の試合からはマッカラムが戻って来る。それでもサイモンズは自分のプレーを変えないと宣言した。「CJが復帰すればオフェンスの形は変わる。どうスクリーンを使うのかとかね。でも、CJがいればチームにとっては大きな力になるし、僕もプレーしやすくなるはず。僕は自分のプレーをするだけだよ」
リラードとマッカラム、フランチャイズを代表するバックコートコンビが健在であればサイモンズのプレータイムは限られる。だが、チームが勝率5割のラインを大きく下回る中でチーム再建に舵を切るとなれば、彼らが放出されてサイモンズが主力に据えられる未来がやって来る可能性は高い。球団の決断はまだ先だろうが、「もしそうなっても彼はやれる」と感じさせる、堂々のパフォーマンスだった。