井手口コーチ「大濠さんに勝っての全国3位なので、よく頑張ってくれました」
直近5年間でウインターカップ3度の優勝を誇る福岡第一(福岡)だが、昨年大会はベスト8、そして今年は準決勝で帝京長岡(新潟)に敗れ、3位で幕を閉じた。
帝京長岡戦では全員が足を動かすハードな守備を攻めあぐねた。特に2年生ポイントガードの轟琉維は、19得点を挙げた佐藤涼成に次ぐ14得点を挙げたものの、その内容はフィールドゴール36本中わずか6本成功と苦しいものだった。
試合の序盤ではスクリーンを使って積極的にアタックしていた轟だが、205cmのコネ・ボウゴウジィ・ディット・ハメードの高さを意識しすぎてシュート精度を欠き、ペリメーターでも厳しいマークにあったことでタフショットが増え、帝京長岡にディフェンスリバウンドから走られてしまった。
準決勝敗退後、轟はインサイドで待ち構えるハメードの存在を「気にしてしまいました」と語り、何度もブロックショットを浴びたことで弱気になったと悔やんだ。「自分と涼成さんでしっかり決め切らないといけないんですけど、自分の力不足でシュートを外してしまって、このような結果になってしまって本当に申し訳ないです」
福岡第一の井手口孝コーチは「センターを含めて、苦しい時に誰にボールを預けたら点を取ってくれるとか。キャリアがないからどうしても佐藤と轟になってしまうけど、そこは流石にしっかり守られて、他のポジションの子が何もできずに見ているようなオフェンスになってしまった」と帝京長岡戦を振り返った。
「涼成さんが声をかけてくれて、ここまでやってこれました」
井手口コーチが言う『キャリア』とは試合経験のことだ。福岡第一はインターハイ予選で福岡大学附属大濠(福岡)に敗れたため、今年はウインターカップが初の大舞台となった。また、部員数100人の大所帯のバスケ部の中で新型コロナウイルスの感染者が出て、部としての活動が全くできない期間があり再開後も活動はかなり制限されてしまった。そのため、井手口コーチは「彼らともう何カ月か一緒にバスケができたらもう少し良いチームが作れたと思いますけど、今回は時間が足りなかったです」と言う。
それでも練習すらできない状況を経験しただけに「ゲームができただけでもありがたいという気持ちですし、そういう中で全国大会3位ですから。彼らも不本意ではあるでしょうけど褒めてあげたいです。それに一度は(ウインターカップ福岡県予選で)大濠さんに勝っての全国3位なので、よく頑張ってくれました」と選手を称えた。
今大会では目標に届かず終わった福岡第一だが、2年生の轟にはまだ来年がある。主力としてチームを引っ張ってきた轟だが「涼成さんが声をかけてくれて、ここまでやってこれました」と、3年生の佐藤への感謝を語った。「さっき涼成さんが『来年こそは日本一を取れ』という言葉をかけてくださいました。来年は自分がエースとしてチームを勝たせる選手になりたいです」
このウインターカップで「本当に自分の力不足をすごく実感した」と悔やんだ轟は、同じ思いを二度としないためにも「ガードとして決め切らないといけないショットを外してしまったり、リバウンド、ルーズボールもガードが取らないといけないところを取れずに相手に渡ってしまったりしていました。なので、そういった基礎からしっかりやっていきたいです」と続けた。