島倉欧佑

「自分たちが道標を作ることができた」

「準優勝という結果でしたが、大会を通して帝京長岡らしさを子供たちがよく表現してくれたと思います」。

福岡大学附属大濠(福岡)とのウインターカップ決勝戦、帝京長岡(新潟)は同点を狙ったコネ・ボウゴウジィ・ディット・ハメードの3ポイントシュートが外れて56-59でタイムアップを迎えた。

帝京長岡を指揮する柴田勲コーチの冒頭の言葉がこの試合を物語っていた。帝京長岡はインテンシティの高いハードなディフェンスを最後まで続け、球際で負けず、泥臭く福大大濠の攻撃を退けた。最終スコアが示すように、ここまでのロースコアゲームになったのは、帝京長岡の伝統である粘り強いディフェンスが機能したからだ。

だが、それと同時に帝京長岡の強みも消され、平均30.6得点で大会得点王となったハメードは19得点に抑えらえた。攻守の要である島倉欧佑は「第3クォーター初めに仕掛けてディフェンスから流れをつかむんですけど、相手のガードに上手くボールをキープされて、スティールからブレイクが出なかった」ことを敗因の一つに挙げたが、平均12.4得点(大会8位)の島倉自身もフィールドゴール18本中わずか1本成功の4得点と、不甲斐ないパフォーマンスに終わった。

それでも島倉に悲壮感はなく、むしろやり切った充実感のほうが上回っている。「自分たちは卒業ですが、後輩たちに頑張る姿を見せることができて、自分たちが道標を作ることができた。後輩たちも決勝の舞台に立てて、胸を張って新潟に帰れます」

ただ一つ心残りなのは、柴田コーチに優勝をプレゼントできなかったことだ。島倉は「柴田先生は自分たちが困っていたらしっかり鼓舞してくれて、進む道を示してくれる存在。先生が指揮を執ると安心するし、選手たちの支え」と話し、絶大な信頼を置いている。だからこそ、試合後の会見で「先生を胴上げして終わりたかったです」と語った瞬間に、涙をこらえることができなかった。

そして、柴田コーチはそんな島倉と固く握手し、会見を後にした。、「準優勝でしたが、ディフェンシブなバスケットをしてくれて、一人ひとり頼もしいプレーをしてくれ、勇気のあるプレーをたくさんしてくれたと思います。子供たちは本当によく頑張ってくれました」