ロケッツ

やるからには徹底的に、再建2年目でさらなる主力の放出も辞さず

ロケッツのオーナー、ティルマン・フェルティッタは先日、『PaperCity Magazine』の取材に応じ、チーム再建について「徹底的に、しかし期限を定めてやる」と語った。

ここで彼は、若手とベテランを組み合わせて勝つことを「間違ったプロセス」と言い切る。「何年もただ平凡なチームを組むつもりはない。今のチームで8位か9位でプレーオフに進むこともできただろうが、一度バラバラにして作り直す方が良い。私は『今すぐ勝て』とは言わない。つまらないチームは見たくないからだ」

実際、ラッセル・ウェストブルックとジェームズ・ハーデンを放出して再建へと舵を切ったロケッツは、2年目の今シーズンになってそのやり方をさらに徹底している。チームで一番の高給取りであるジョン・ウォールをロスターから外し、ケビン・ポーターJr.とジェイレン・グリーンの若いガードコンビにプレータイムを与えた。2ウェイ契約で獲得したギャリソン・マシューズが『当たり』だと見るや正式契約へと切り替え、同時にロケッツで4年目のシーズンを迎えて成長の止まっていたダニュエル・ハウスJr.を解雇している。

ここから先も、思い切ったトレードが次々と行われると見られる。ドラフト16位指名のアルペラン・シェングンもNBAで主役を演じられるセンターであることを示したことで、フロントはクリスチャン・ウッドとダニエル・タイスを放出しようとしている。ウッドはチームの中心選手と期待されて昨年夏に加入した選手だがケガ続き、タイスは今シーズン開幕前に加わったばかりだが、彼が先発から外れた途端にチームは勝ち始めてもいる。

グリーンにシェングンと、2人の『当たり』を引き当てたことは、「一度バラバラにして作り直す方が良い」というオーナーの言葉が正しいことを示している。さらにはドラフト外のルーキー、ジョシュ・クリストファーも12月に入ってプレータイムを伸ばし、12月はここまで11試合に出場して平均9.5得点と、セカンドユニットの戦力となった。グリーンとは昔馴染みでAAUのチームメートだったクリストファーだが、これほど早く戦力として見込みが立つのはうれしい誤算だ。23位指名のウスマン・ガルーバはこれまで目立った働きができていないが、フロントコートの戦力が整理されればチャンスを与えられるはずだ。

いずれにしてもチームは『今すぐ勝つ』ことを求められていない。才能ある若手にプレータイムを与えることが優先だ。ハーデン退団後にベテランとしてチームを支えるエリック・ゴードンも放出されるだろう。

ロケッツはここまで10勝21敗、NBA30チームで下から3番目と低迷しているが、15連敗の後に7連勝があり、チームは上向きつつある。だが、得点でチームを引っ張るゴードンやウッドはトレード要員だ。来年も複数のドラフト指名権を持っており、そこで再建に一区切りを付けたい、というのがフェルティッタの目論見なのだろう。

ロッタリーに参加する再建チームが優勝を狙える位置まで上がるのは簡単ではなく、何年も低迷から抜け出せない例は多い。ハーデンを中心に優勝候補だったチームが解体された後、2年で再びその位置に戻ることができるのか。2月のトレードデッドラインまで、ロケッツは慌ただしく動くことになりそうだ。