2月のトレードデッドラインまでに、優勝を狙うチームに移籍?
ジェレミー・グラントのピストンズでの役割は終わりを迎えようとしている。セブンティシクサーズで3年、サンダーで3年を過ごして攻守にエネルギッシュに働くロールプレーヤーとして認められた彼は、2019-20シーズンのナゲッツでカンファレンスファイナル進出に貢献。そのオフにフリーエージェントとなった彼は、3年6000万ドル(約65億円)の好条件でピストンズに移った。
再建中のピストンズで彼が託されたのはエースの役割。ナゲッツではニコラ・ヨキッチとジャマール・マレーの2枚看板がいて、2014年ドラフトの2巡目39位からステップアップしてきたグラントはあくまで繋ぎの役割。それでもピストンズでは加入当初からデリック・ローズやブレイク・グリフィンを抑えてオフェンスの一番手を担った。
かくして、ナゲッツでは12.0だった彼の平均得点は昨シーズンに22.3へと劇的に伸びたのだが、ピストンズは20勝52敗と相変わらず勝てない。そして今シーズン、1位指名権を引き当ててケイド・カニングハムを獲得したことで、この世代を中心にチームを作る方針を固めた。今のピストンズは極端に若いチームで、27歳のグラントもチームで4番目の年長者。20歳のカニングハムとキリアン・ヘイズ、22歳のサディック・ベイの年代を中心に、数年後に勝てるチームを目指す。
そうなると、グラントの立ち位置は微妙なものとなる。今が3年契約の2年目で、今シーズンも平均得点が20を超えている以上、次の契約でも妥協はしたくないだろう。そうなればピストンズとしては、『カニングハムの世代』の選手とのトレードへと傾く。
優勝候補のチームでエースを担うには、グラントの得点能力は物足りない。それでも、俊敏な動きと豊富な運動量、長い腕を使ったディフェンスのできるロールプレーヤーとして計算が立ち、なおかつオフェンスの2番手、3番手のオプションとしては十分な力を持つ。ピストンズで得た経験は、次にどのチームに移っても生きるはずだ。
ナゲッツでカンファレンスファイナルを経験した後に再建中のピストンズに移っただけに、グラント自身も優勝を目指すチームで自分の力を試したいはずだ。2月のトレードデッドラインに向けて、多くのチームから関心を集めることになりそうだ。