就任4年目で白鷗大を初優勝に導いた網野友雄コーチ、41歳の挑戦「チームとして戦って支え合って役割を、徹底することが大切」

就任4年目で白鷗大を初優勝に導いた網野友雄コーチ、41歳の挑戦「チームとして戦って支え合って役割を、徹底することが大切」

2021/12/13 18:00
網野友雄

41歳の若き指揮官「新たにアップデートしながら頑張っていきたい」

2021年インカレ男子は白鷗大が、東海大との白熱のファイナルを63-58で制して初の日本一に輝いた。白鷗は今大会の前、過去5年間で4度のベスト4と上位進出の常連となっていたが、一方で4強の壁を突破できずにいた。それが今年は準決勝で筑波大を破ると、決勝でもその勢いに乗って東海大と、ここ10年の大学バスケを牽引する『2強』を揃って撃破して新王者誕生となった。

白鷗大の初優勝に、41歳の若き指揮官、網野友雄の見事な手腕は欠かせないものだった。

決勝の第2クォーター、白鷗大は東海大のゾーンディフェンスに苦しみパスミスとオフェンスファウルを連発し、シュートすら打てない状況に陥った。網野ヘッドコーチは振り返る。「どのチームも変化をつけるためにゾーンディフェンスを使ってくると話をしていて、練習の中でも対策していたのですが、なかなか選手たちが頭を切り替えられず対応が難しかったです」

ただ、一時は2桁のビハインドを背負う厳しい時間帯を、ディフェンスで踏ん張って相手に多くの得点を与えず、8点差で前半を折り返したことは試合の大きな鍵となった。そして後半にオフェンスを修正し、第4クォーターには22-10のビッグクォーターで一気にまくった。過去3試合続けて終盤に3ポイントシュート攻勢をくらって追い込まれた東海大の警戒心をうまく利用するかのように、MVPを受賞した司令塔、松下裕汰のドライブなどで東海大のディフェンスを攻略できた背景を指揮官はこう明かす。

「第4クォーターにアウトサイドのシュートよりも2ポイントをきちんと取るように声をかけました。東海大のディフェンスは大きくボールサイドに対して構えて、その圧をインサイドの選手が感じる場面が多かったです。そこでいつものスペーシングを変えてクローズアウトの状況を変えたい思いがありました。そこで空くのが松下のところで、彼が判断してドライブで攻める2ポイントに繋がったと思います」

網野友雄

「白鷗大でプレーしたい、と思ってもらえるように」

白鷗大の持ち味は大学バスケ界随一の堅守だ。網野ヘッドコーチは「ディフェンスの強度が落ちない。そして、どれだけビハインドでもメンタルが落ちない。この2つに尽きると思います」と心身ともに40分間、タフに戦い続けた選手たちを称える。

実際、この特徴は数字にも現れている。力が拮抗し、接戦のまま第4クォーターを迎えたベスト8の日本体育大戦からの3試合、白鷗大は第4クォーターの失点がベスト8で15、ベスト4で8、決勝は10と、ここ一番での守備の安定感は傑出していた。

網野ヘッドコーチは現役時代、トヨタ自動車、アイシンシーホース、宇都宮ブレックスに在籍。日本代表として地元開催の2006年世界選手権にも出場するなど、トップ選手として見事な実績を残している。白鷗大のヘッドコーチに就任して今シーズンが4年目、大学のスポーツにおける最初の1サイクルで早くも栄冠をつかんだ。

プロと違い、学生スポーツにおいてリクルーティングは指導者の占める割合が大きい。それは圧倒的な実績や知名度を持たない学校においてより顕著だ。白鷗大は網野ヘッドコーチが就任する前から関東1部ではあったが、それでも関東以外において筑波大、東海大を筆頭とする強豪に比べると知名度で劣るのは否めない。

「選手たちはバスケットボールを好きなので分かっていますが、保護者の方は白鷗大がどこにあるのか知らないというケースもありました。そこは直接コミュニケーションを取ってチーム、大学、僕のことを知ってもらう。そして白鷗大でプレーしたい、僕に預けたいと思ってもらえるようにしたいです」

白鷗大

「雑草ではなく、そこそこですよ(笑)」と表現する選手たちと日本一に

このように誠実に選手、その保護者に自身の熱意を伝えることで、網野が「雑草ではなく、そこそこですよ(笑)」と表現する、高校時代に全国トップレベルの実績を残してはいなくても、それぞれ光る個性を持ったダイヤの原石たちが集まった。そして、自分が最初にリクルーティングした選手たちが4年生となる節目のシーズンを最高の形で締めくくった。

「すべての選手を直接リクルートしたわけではなく、自分で選んでくれた学生もいます。そういう選手たちを最初から見てきて、成長していく姿を感じながらこういう結果に繋がったのはうれしいです」

網野は、この4年間の経験で得たものをこう語る。「指導者になって、選手の時とはバスケットボールの見え方が変わりました。コーチは結果に関してのプロセスを、練習の組み立てとか日頃のコミュニケーションでコントロールできます。その分、一昨年と去年のインカレ、今回のリーグ戦など、あと一歩のところで負けてしまってすごく考えました。そこを一山超えられて、今までやってきたこと、声をかけたことが間違ってなかったと思いました。これからも、新たにアップデートしながら頑張っていきたいです」

今回の日本一は、網野ヘッドコーチにとって信念への確信をより強くするものとなった。「個人のポテンシャル、タレントはすごく大事ですが、それ以上にチームとして戦って支え合って役割を、徹底することが大切と証明できたのは良かったです」

強豪チームを次々と撃破する戦いぶりを見て「白鷗大でプレーしたい」と思う高校生プレーヤーは増えるはずだ。そういう意味でも、この日本一は最高のエンディングであるとともに、さらなる進化に向けた最高のスタートとなる。網野ヘッドコーチ、そして白鷗大のこれからの飛躍への期待が高まる今年のインカレとなった。

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