アルバルク東京

点を取り合う展開の中、A東京は身体を張ったタフな守備を貫く

アルバルク東京が11月5日、ホームで川崎ブレイブサンダースと対戦した。ともにシュートタッチが良く激しい点の取り合いとなる中、最後まで我慢強くゲームプランを遂行したA東京が96-90で競り勝ち、前日19点の大差で敗れたリベンジを果たした。

A東京にとっては昨夜の悪い流れを断ち切りたい大事な出だしで、ジョーダン・テイラーが積極的な仕掛けを見せる。「出だしからジョーダン・テイラー選手がどんどんプッシュして、アグレッシブにアタックしてきたところで流れを持っていかれました」と川崎の佐藤賢次ヘッドコーチが語る活躍を見せ、第1クォーターだけで9得点を挙げた。

試合全体でもシーズンハイの20得点を記録した司令塔の奮闘に加え、アレックス・カークがオフェンスリバウンドを取りまくることでA東京は昨日の前半と同じ24得点を第1クォーターだけで挙げて先行する。だが、第2クォーターに入ると川崎は篠山竜青、ジョーダン・ヒースの連続3ポイントシュートなどで盛り返し、前半は川崎の46-45と互角の展開で終える。

後半開始早々、マット・ジャニングが長距離砲を続けて沈める川崎が突き放しにかかるが、A東京も安藤周人、テイラーが入れ返して譲らない。また、残り約5分にテイラー、約2分にカークがそれぞれ4つ目のファウルを喫して想定外の交代を余儀なくされるが、それぞれプレーの強度を落とさず食らい付いた。

互いに確率良くシュートを決める壮絶な打ち合いは第4クォーターに入っても続く。A東京がライアン・ロシター、セバスチャン・サイズを軸に攻めるのに対し、川崎はスイッチからニック・ファジーカスが日本人ガードとマッチアップする状況を作り出して対抗する。だが、A東京は得点を許す中でも身体を張ったタフな守備を続けることで、ファージカスを気分良くプレーさせることはなかった。

この影響があったのか、残り3分50秒にファジーカスはシュートを外した後、マークしていた小酒部泰暉を押す格好となり、アンスポーツマンライクファウルを宣告される。これでA東京が一歩抜け出し、外角シュートが入らない川崎の攻めが停滞していた残り1分半、田中大貴がリードを8点に広げる値千金の3ポイントシュートを決めて逃げ切った。

ルカ・パヴィチェヴィッチ

「1試合でも負けるのは良くないことで、痛みを感じます」

激闘を制したA東京の指揮官ルカ・パヴィチェヴィッチは、次のように選手たちを称える。「昨日、内容的に悪い形で負けた中、今日も非常にタフな状況でしたが、よく選手たちは粘ってくれました。チームにとって大きな勝利です。川崎は完成度が高く、おそらくリーグで最も層が厚いチームです。非常に簡単ではない試合でしたが、集中力を最後まで切らさなかったです」

大きなターニングポイントとなったのは、昨日の試合で川崎に大きなアドバンテージをもたらしたファジーカス、ヒース、パブロ・アギラールを同時起用する3ビッグに対し、カークとロシター、サイズのアルバルク版ビッグラインナップで対抗した点だ。

「ビッグラインナップをやってくるのは相手にとっても可能なので、ちょっとは予想していましたが、びっくりしました。正直、やってくるとは思わなかったです」と佐藤ヘッドコーチが振り返った起用法への手応えをパヴィチェヴィッチは語る。「昨日の試合でも使うことはできましたが、早い段階で試合が壊れてしまったので温存しました。ディフェンス面では機能したと感じています」

さらに印象的だったのは試合後のコート上でのインタビューで、パヴィチェヴィッチが「本当に必要な勝利でした」と強調したことだ。確かにホームでの連敗を避けたいところであり、負けていい試合はない一方で、シーズン序盤のチーム作りの段階でもある。だが指揮官は、「私たちはアルバルク東京です。1試合でも負けるのは良くないことで、痛みを感じます」と、常勝軍団としての強い矜恃を語る。

「開幕節で琉球に連敗した痛みは本当に大きなものでした。私たちはすべての試合で勝ちにいきます。それは琉球のホーム、川崎、千葉などどんな相手に対してもです。一方で私たちの勝利を保証するものは何もありません。だからこそ私たちが厳しい負けの後でも、しっかりとチームとして立て直せる、そして勝利に必要なことを行い、実際に勝つことを示すのは重要です」

実際、この試合A東京はいつもに比べてプレータイムのシェアを行わず8名ローテーションで回す必勝体制で臨んだ。2試合続けての大量失点はらしくない部分もあるが、それでも今日しっかり勝ち切れたことは、王座奪還に向けチームが着実に前進していることを示すものだ。