比江島慎

「個人の出来としては納得いっていない」

渡邊雄太と八村塁の大活躍で快勝を収めたカザフスタン戦だが、すべてがうまく行ったわけではない。日本のエースであるべき比江島慎は2番ポジションで先発出場したものの、リムへアタックする積極性、ピック&ロールからのクリエイトといった持ち味を発揮できず、プレータイムは14分半、3得点という結果に終わった。当然、比江島自身も「個人の出来としては納得いっていない部分はもちろんあります」と振り返る。

「周りを生かそうとしてしまった部分があり、それはそれで良いんですけど、出だしでターンオーバーから入ってしまい、相手に主導権を握られてしまいました」

八村、渡邊と個で打開できるタレントが揃ったことで攻撃をスムーズに回してアシスト役になろうとした比江島だが、「ちょっと考え方を変えなきゃいけない。シュート本数が2本しかないですから、自分が消極的になっていたのは試合が終わってから感じました。アタックするでもなくゴールを見るでもなく周りを探してしまったので、その攻めから考え直して、パス先行ではなくて、ゴールにアタックする、シュートを優先しようと思います」

比江島慎

「十分に勝てる実力が今の日本にはある」

個人としては課題が残ったが、快勝したチームには手応えを感じている。「即興ではありましたけど、みんながゴールにアタックする気持ちは素晴らしいし、ディフェンスも守るべきところをしっかり守って速攻に持っていくことができました。でも、もっと離せたと思います。30点差とか、もっと行ける可能性がありました。そこは即興のチームなのでボロが出ましたけど、イラン戦までちょっとしかないですが修正したいと思います」

その危機感は、これまでの経験から「イラン戦ではこうはいかない」と感じているからだ。「カザフと比べたら1つも2つもランクが上だし、出だしからしっかりやらないといけないです。でも、チームとしても個人としてもアグレッシブに、ディフェンスから速い展開に持っていけば十分に勝てる実力が今の日本にはあると思うので、しっかりやりたいです」

カザフスタン戦で猛威を振るった渡邊、八村のアイソレーションはイランに徹底的にケアされるはず。そんな時こそ、個人で打開する比江島のアタックが必要だ。比江島の復調は、カザフスタン戦で快勝した日本代表からのそのまま上積みになる。Window5以降の戦いを見据えても、ここでイランを撃破すること、そして比江島の復活は日本にとって必要不可欠な要素となる。