富山グラウジーズ

文=立野快 写真=B.LEAGUE

的が絞れないチームオフェンスでアーリーカップ2連覇

アーリーカップ北信越大会の最終日、決勝は富山グラウジーズと新潟アルビレックスBBの対決。ともに中地区でチャンピオンシップ出場を目指すチームによる、負けられない前哨戦となった。

試合序盤、新潟はインサイドへ積極的にアタック。ラモント・ハミルトンがリングへ向かうことで、ジョシュア・スミスを開始1分で2ファウルとファウルトラブルへ追い込み、昨シーズンの得点王であるダバンテ・ガードナーもフィジカルを押し出し、マッチアップのレオ・ライオンズを2ファウルへと追い込んだ。

それでも富山は冷静さを保ち、スミスがダブルチームをモノともしないポストワークでゴール下をこじ開けたかと思えば、リバウンドから宇都直輝とライオンズがプッシュするトランジションで主導権を引き寄せる。

第1クォーターの最後にスミスが個人ファウル3つ目を犯してベンチに下がり、富山に苦しい時間が訪れるかと思われたが、積極的に前から当たるゾーンプレスディフェンスで新潟からターンオーバーを誘発。手薄になると思われたゴール下も山田大治の献身的な動きで新潟のアタックを防ぎ、足を使った組織的なディフェンスで良い形でシュートを打たせなかった。

そしてリバウンドを拾えば、ライオンズと宇都がボールをプッシュし次々と速攻を繰り出した。特にゲームを支配したのはライオンズで、滑らかなドライブでコートを縦に割き、崩れたディフェンスを突いて大塚裕土や水戸健史といったシューターに当たりが続く。ライオンズの連続3ポイントシュートで前半残り3分44-24とすると、新潟は意気消沈してしまった。

後半も富山のチームバスケットが機能。コートに戻ったスミスをインサイドのフィニッシャーに据え、アウトサイドの4人がコートを走り回る抜群のスペーシングで的を絞らせない。昨シーズンのように宇都の個人能力に頼ることなく、複数の選手が起点となるチームオフェンスでシンプルなイージーバスケットを連発。ベック新体制での戦術的な進化を見せ108-78と圧勝劇を演じ、アーリーカップ北信越大会2連覇を達成した。