「ミスをしないようにと後手後手のプレーに」
アーリーカップ初日、篠山竜青、辻直人、ニック・ファジーカスを日本代表で欠く川崎ブレイブサンダースはサンロッカーズ渋谷に69-73で敗れた。最大23点差を付けられるも第4クォーターの猛追で見せ場を作ったが、それは藤井祐眞、バーノン・マクリン、シェーン・エドワーズが得点を奪い、長谷川技と鎌田裕也が脇を固める経験豊富な5人を同時起用してから。代表不在によりプレータイムを得ている若手にとっては厳しい結果となったが、その中でも光るプレーを見せたのが林翔太郎だ。
「第1クォーター途中で出させてもらって、前半は会場の雰囲気に飲まれたというか、ミスをしないようにと後手後手のプレーをして、何もすることなく交代してしまいました」
前半は全く良いところがなかったと振り返る林。第2クォーターには杉浦佑成のドライブからのシュートをブロックする好プレーがあったが、「あれは最終場面でたまたまブロックできました。もっと準備をしないといけない。まずは、ボールを持たせてはいけなかった」と反省する。
指揮官の檄「ミスしていいからガムシャラにやれ」
雰囲気に飲まれたと感じるのも無理はない。昨シーズン途中から特別指定選手として川崎に加入したが、試合に出たのはすでに勝敗が決した局面でのラスト数分のみ。練習試合でプレーすることはあっても、観客が入り盛り上がっている会場で、序盤から出場するのは初めての経験だ。
ただ、林は北卓也ヘッドコーチの檄を受けて良い意味で開き直る。「前半、交代でベンチに戻った時、北さんから『ミスしていいからガムシャラにやれ。ディフェンスもハードにつけ』と言われました。確かに僕がミスしないようにしたところで、チームにプラスになることは何もない。後半は打てる時は打つ、ディフェンスもハードにやって3ポイントシュートも決めることができました。けど、大事な場面でミスをしてしまったところは修正しないといけないです」
実際、追い上げてきている中、インバウンドパスで失点につながる致命的なパスミスを犯してしまったプレーは反省すべきだ。しかし、前半に比べると攻守ともにアグレッシブなプレーを見せたのは収穫だ。
「ディフェンスが第一、そして得点に絡んでいく」
今大会、川崎は8名で臨んでおり、2日目の今日も林にプレータイムが与えられることは間違いない。だが、アーリーカップが終わってしばらくすれば代表メンバーも戻って来る。だからこそ、試合に出られることへの純粋なうれしさを感じると同時に、残り少ないチャンスで結果を出さなくてはならない焦燥感もある。
「代表の選手がいないことで試合に出られている部分はあります。今、チャンスをモノにしないと、シーズンが始まってから使われない。それでは、この夏にやってきたことの意味がなくなります。もっとコーチ陣にアピールして、シーズン中も大事な場面で使ってもらえるようになりたい。危機感はあります」
林のポジションである3番では、ローテーションに入っていた栗原貴宏が移籍したことで枠が1つ空いた。ここに食い込むのが今の目標となる。「チームのベースとして求められるディフェンスをこなすことを第一に、それに加えてシュートなど、得点に絡んでいくことを自分の売りにしたいです。昨シーズンはセカンドチームの得点力が低いところがありました。自分が得点を挙げることでもその課題の解消につなげたいです」
「自分にとって、今日が始まりみたいなもの。これからという感じです」と語る林は、ルーキーイヤーからのプレータイム確保に向けてがむしゃらに突き進んで行く。
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