「そろそろディフェンスの評価を見直してほしい」
2004年にピストンズでNBA制覇を成し遂げたベン・ウォレスは、史上初めてドラフト外選手として殿堂入りを果たした。
ウォレスがNBA入りしたのは1996年。当時のNBAは現在とは違い、3ポイントシュートの試投も少なく、シャキール・オニールを筆頭とした屈強なセンターがゴール下で得点を重ねていた。そのため、206cm(本当はそれよりも小さいと公表)のウォレスはNBAで戦うにはサイズ不足と見られた。それでも、ウォレスはパワー負けしない強靭な肉体を作り上げ、ハードワークと卓越した守備センスで先発の座をつかみ取った。そして、最優秀守備選手賞を4度、リバウンド王を2度、ブロック王など数々のタイトルを受賞し、リーグを代表する守備的なセンターとなった。
キャリアの平均得点は5.7と決してオフェンスに長けた選手ではない。それでも、スクリーンのヒット率は高く、味方のシュートをプットバックしスティールから速攻を生み出すなど、オフェンスでの貢献度が低いわけではなかった。殿堂入りした選手は得点力に長けた選手が多いが、ウォレスはディフェンシブな選手も評価されるべきと主張した。
「そろそろディフェンスの評価を見直してほしい。ディフェンシブな選手は多くの仕事をしているのにあまり評価されない。彼らはゴールを守り、輝き続け、チームをまとめて勝利をもたらす存在なんだ」
そして、201cmのデニス・ロッドマンのように、身長が小さくてもインサイドで渡り合えることを証明したウォレスはこのように胸を張った。「私のレガシーを教えよう。私は小さすぎて歓迎されず、彼らが望むプレーができなかった。私にとっては不平等極まりない評価だが、同じ土俵に立ったら目にもの見せてやると思っていた」
サイズを理由に過小評価されながらも、努力を続けて殿堂入りを果たすまでの選手へ成長したウォレス。困難な道のりを歩んできたように思えるが、「人生は難しいものではない」と持論を展開した。「人生は難しいものではなく、とてもシンプルなものだ。人生とは自分が与えるものであり、そこから得るもの。人生に命を吹き込むんだ」