文=鈴木健一郎 写真=野口岳彦

第1クォーターを4点に押さえ込み主導権を握る

『歴史的開幕戦』から一夜明け、平日開催ながらも満員、9461人の観客を集めた代々木第一体育館。終始堅いディフェンスを見せたアルバルク東京が一度もリードを許さず74-53で勝利した。

昨夜同様、アルバルク東京が序盤に走る。アグレッシブなディフェンスで相手に自由を与えず、ドリブルで揺さぶられてもすぐさまカバーが入り、楽にシュートを打たせない。菊池祥平と田中大貴の連続3ポイントシュート、ディアンテ・ギャレットが完全に崩して田中の得点をアシストするなど多彩な攻めで試合開始から10-0のラン。第1クォーターを4失点に抑え、試合の主導権を握った。

アンソニー・マクヘンリーにボールを預けてからの展開が単調なところを読んで対応したのがアルバルク東京の堅守の秘訣。第2クォーターに入り、マクヘンリーに預けるのではなく個々が積極的にドライブで仕掛けるようになると琉球ゴールデンキングスのオフェンスも活性化する。それでも残り1分を切ったところでギャレットが連続3ポイントシュートを決め、アルバルク東京が点差を広げて前半を終えた。

勝負を分けた田中、ギャレットの要所での得点

後半、琉球ゴールデンキングスは前夜同様にエンジン全開で逆襲に出る。スクリーンを使って素早くパスを回すが、アルバルク東京は正確無比なディフェンスで揺さぶっても揺さぶってもすぐさま対応してノーマークを作らせず、タフショットを打たせていく。タフショットが決まることはあっても単発で、流れを作るには至らない。逆に焦りからターンオーバーが増えていく。

それでも岸本隆一がミドルシュートを決め、喜多川修平やルーキーの田代直希が3ポイントシュートを沈め、熱狂的なブースターに後押しされる琉球ゴールデンキングスが反撃ムードを演出するが、第3クォーター終盤、田中が敵陣深くでスティールに成功。このワンプレーで琉球ゴールデンキングスの勢いは完全に止まってしまった。

第4クォーター、メンバーが変わってもディフェンス力が全く落ちないアルバルク東京は失点を53点に抑え大差で勝利した。

アルバルク東京は前夜以上に要所での勝負強さを発揮し、勢いに乗ると怖い琉球ゴールデンキングスにその機会を与えなかった。開幕2Daysを連勝で終えたアルバルク東京の伊藤拓摩ヘッドコーチは「正直、ホッとしています」と素直な気持ちをコメント。「ゲームプランは変わりませんが、昨日よりも良いバスケットをしようと選手に話しました。それができたと思います」

連勝スタートに大きく貢献した田中大貴は「昨日よりリラックスして臨むことができた。今日はディフェンスの勝利。昨日より成長していると思いますし、これを今後も続けて、最後に優勝できるようにレベルアップしていきたい」と満足気な表情を見せた。

琉球ゴールデンキングスの伊佐勉ヘッドコーチは「相手がそう仕向けてきて、自分たちのオフェンスができなかった。それに加え、崩せているところで決めなければいけないシュートを落としてしまった。オフェンスが波に乗れなくて、結果的に最後まで乗れない試合になってしまった」と、得点力を自慢とする琉球らしからぬ53得点に終わったオフェンスを反省した。それでも「サイズとフィジカル面は今までのリーグとは違うと感じた。しかし、スピードで補える部分も随所にあったと思う。もっとスピードをつけて対抗したい」と今後のリベンジを誓った。

明日は他の全クラブが記念すべき開幕戦を迎える。各クラブにとって、そしてBリーグにとっても、本当の戦いはこれから始まる。