渡邊雄太

スロベニアの総合力に屈し「彼らはメダルを取るだけの力が絶対にある」

7月29日、バスケットボール男子日本代表はスロベニアと対戦し、81-116と大差で敗れた。

NBAのトップ選手であるルカ・ドンチッチを止めることはやはり難しかった。彼はファウルトラブルに陥りながらも要所を締め、25得点7リバウンド7アシスト2スティール2ブロックを記録し、試合を支配した。

渡邊雄太はそのドンチッチのマークを任された。対戦する前から「彼はすごいプレーヤーなので、ある程度得点は取られますし、アシストも伸ばしてきますし、リバウンドも取ってきます。1対1で止めるのは絶対に無理でしょう」と語っていたが、それが現実となった。

「やられる部分はしょうがないので、そのやられていい場所を絞りながらやってはいたんですけど、チーム力的にも向こうの方が上だった部分が多かったので、悔しい気持ちが多いです」と、渡邊は率直な思いを明かした。

また「彼に惑わされずに自分たちのバスケを40分間貫けば絶対にチャンスはある」とも言っていたが、スロベニアの総合力は日本の予想をはるかに上回ってきた。「試合を通して相手のやりたいことを結構やられていたと自分自身感じました。あまり自分たちのゲームプランを遂行できていなかったのかなと思います。めちゃくちゃ力を持っていると思いますし、彼らはメダルを取るだけの力が絶対にあると思うので、ああいう展開で負けたのは正直すごく悔しいです」

渡邊自身のパフォーマンスは決して悪くなかった。ゲームハイの34得点を挙げた八村塁に次ぐ17得点を挙げ、7リバウンド2アシスト2ブロックと攻守に奮闘していた。ただ、全員得点を含む5人が2桁得点を挙げたスロベニアと違い、日本が2桁得点を挙げたのは3人のみと得点バランスが悪かった。リバウンドにボールプッシュ、ドンチッチへのマークと求められる役割が多い渡邊だが、「オフェンスで自分がもう少し絡んでいかなきゃいけなかった」と、八村頼りになってしまったオフェンス面の改善を課題に挙げた。

それでも、富樫勇樹や比江島慎がアグレッシブにプレーし、激しいディフェンスからトランジションに持ち込むなど、日本が目指すスタイルを体現できた時間帯もあり、それについては一定の手応えを得ている。「自分たちの成長についてはこの間のスペイン戦もそうですし、今回もすごく感じています。今日は塁が引っ張ってくれていましたけど、自分たちが通用していた部分はもちろんありました。リングにアタックできていた部分もありますし、オープンでシュートをしっかり決めていた部分もありました。そういう良い部分は自信にしていけたらと思っています」

渡邊雄太

対アルゼンチンは球際のデュエルに勝つことが必須

日本はこれで0勝2敗。次はグループリーグ最終戦でアルゼンチンと戦う。東京オリンピックのフォーマットは、グループリーグで総当たり戦を行い、上位2チーム(計6チーム)が決勝トーナメントへと進む。また、グループ3位の上位2チームも決勝トーナメントへと進むことができる。そのため、限りなく苦しい状況だが、アルゼンチンに大差で勝つことができれば、日本にも勝ち上がる可能性が残されている。

渡邊も「もちろん他のグループ次第ですけど、次のラウンドに行けるチャンスはまだゼロじゃない」と前を向く。「正直、得失点を考えている余裕は今の自分たちにはなく、他のグループがどうなるかというのは自分たちがコントロールできることではないので、とにかくアルゼンチンに1点でも多く勝つということに集中できればと思っています」

もちろん、アルゼンチンに勝つことも容易ではない。世界ランキングは4位で、2019年のワールドカップでも準優勝している強豪国だ。ギャビン・エドワーズが負傷離脱したこともあり、スロベニア戦ではオフェンスリバウンドを17本も奪われたことが敗因の一つとなったが、アルゼンチンも高さとフィジカルを兼備しているため、リバウンドが一つのカギを握ると渡邊は言う。

「勇樹が一生懸命ボックスアウトをしているけど、どうしても身体的な部分で相手の膝に行っているような見られ方をされて、ボックスアウトをやってもファウルを取られてしまった部分がありました。そこは仕方がないですけど、アルゼンチンはそういう球際もすごく強いので、しっかりビデオを見て反省するしなきゃいけない」

「下手をしたら、オリンピックでの試合は残り1試合しかない」。そう覚悟を決める渡邊のパフォーマンスに期待したい。