ジェームズ・ハーデン

写真=Getty Images

「自分とクリスの連携がどうなったかは皆が知っているよね」

王者ウォリアーズの3連覇を止める可能性が最も高いと言われているロケッツは、このオフにカーメロ・アンソニーを獲得した。1年前にも噂された補強がついに実現し、ロケッツはジェームズ・ハーデン、クリス・ポール、アンソニーの『ビッグ3』を結成して、打倒ウォリアーズに臨むことになった。

今シーズンのロケッツが成功できるかどうかは、カーメロを含むケミストリーにかかっている。トレバー・アリーザ、ルーク・バー・ア・ムーテという守備に秀でた2選手が退団し、カーメロは彼らに代わる戦力として加わった。もちろん、カーメロの最大の武器は得点力であって、守備ではない。アリーザやバー・ア・ムーテとは違った形での貢献が期待されているのだが、今のところ不安要素の方が多い。

34歳になったカーメロには全盛期の力はない。昨シーズンはサンダーで主にスポットアップシューターとしての役割を担ったが、最後までチームにフィットできなかった。また、ベンチ出場からの方が効果的なプレーができるのではないかと言われても、昨シーズン終了後のインタビューで「ベンチ出場なんてあり得ない」と一蹴し、先発にこだわる姿勢を貫いている。これではロケッツでも先が思いやられるという意見が多い中、ハーデンは『The Player’sTribune』とのインタビューで、周囲の不安は杞憂に終わると主張した。

「去年も同じようなことが話題になった」と語り始めたハーデンはこのように続けた。

「クリス・ポールとの連携について、周りからは『お互いにボールを持つ時間が多くて、得点を決める選手が一緒にやれるのか?』と言われたけれど、自分とクリスの連携がどうなったかは、皆が知っているよね。IQが高くて、アンセルフィッシュで、バスケットボールを理解している2人の選手が一緒にやるのは簡単なんだよ」

またハーデンは、連携において最も重要なのは、チーム内のコミュニケーションと主張。「今年は自分がシーズンMVPを受賞して、オフにはカーメロ・アンソニーを獲得した。今回だって簡単だよ。大した変化ではない。コミュニケーションを取るのが上手で、チームが機能する方法を見つけようとしている選手の周りに、才能があってIQが高い選手が揃っていれば何の問題もない。問題が起こるとすれば、コミュニケーションが上手くいっていない時だね。そういう時は、それぞれの選手が自分の意見を持つようになって、自分が考えることが正しいと思い込んでしまう。昨シーズン中、クリスと僕は常に話し合った。たとえば、『俺がここにいたら、どこに動いた方が良い? ウィング? それともカットした方が良い?』という具合にね。こういうやり取りを続けていれば、阿吽の呼吸でプレーできるようになる。コミュニケーションが上手くいっていないと、傍から見ていても『どうなってんた?』と思われる。でもね、僕たちは一緒にやり始めた1年目にリーグ最多勝利をあげられたんだ」

カーメロとの連携に関する不安も、シーズンが開幕するまで続くだろう。それでもハーデンは「必要ではないけれど、チームのモチベーションになる」と、余裕を見せている。

「シーズン開幕前に色々と言われるだろうね。逆に批判を楽しみにしてもいる。その方が燃えられるから」

ハーデンらロケッツの選手たちは、昨年に続いてトレーニングキャンプ前にバハマでミニキャンプを張る予定だ。お互いのことを知り、同じ目標のために力を結集させてシーズンに臨めれば、早い段階でケミストリーも生まれる。カーメロの起用法は未定だが、エースのハーデンが「問題ない」と言う以上、今シーズンも期待して良さそうだ。