カール・アンソニー・タウンズ&アンソニー・エドワーズ

カール・アンソニー・タウンズと『爆笑』会見

ティンバーウルブズとサンズの第4戦、第4クォーター残り2分半。アンソニー・エドワーズはクロスオーバーから一気に加速してブラッドリー・ビールを抜き去り、ゴール下のカバーに入ったケビン・デュラントの上からダンクを叩き込んだ。

これで115-111と点差はわずかだったが、その直前のサンズは5人全員が参加して素早いボールムーブから良いオフェンスを組み立てたにもかかわらず、ウルブズは絶妙なローテーションでズレを作らせず、最後はビールからデュラントへのキックアウトのパスをニキール・アレクサンダー・ウォーカーが奪い取っていた。

クラッチディフェンスからのクラッチオフェンスは、スコア以上にウルブズの強さを感じさせ、サンズはタイムアウトを取って仕切り直しを図ったものの、ラスト2分で流れを変える何かを生み出すことはできなかった。

ウルブズが4連勝でサンズをスウィープ。敵地であるフットプリント・センターに沸き起こったMVPコールは、間違いなくアンソニー・エドワーズに向けられていた。41分の出場で40得点9リバウンド6アシスト。前半はシュートタッチが悪く9得点だったが、彼に言わせれば「前半はチームメート全員を巻き込みたかった。そして後半に勝負に行った」とのこと。サンズのオフェンスが波に乗りかけるたびに彼は3ポイントシュートを沈めてその勢いを断ち切り、最後は前述のダンクでシリーズに決着をつけた。

これまでウルブズがプレーオフのファーストラウンドを突破したのは2003-04シーズンの一度きり。直近でもエドワーズ加入2年目から2年連続でプレーオフに進出したが、グリズリーズ、ナゲッツにファーストラウンドで敗れていた。それだけに、この壁を突破できた喜びは大きい。

エドワーズと並んで会見に出たカール・アンソニー・タウンズは、キャリア9年目、プレーオフには4度目の挑戦で初のファーストラウド突破を果たした。「これ以上の幸せはない。勝ち上がることができて、背中の重荷から解放される気分だ。尊敬できる選手と一緒にこれを成し遂げられたのは特別なことだ」と、隣のエドワーズに笑みを向けながら語る。

そのタウンズにエドワーズはこう返した。「彼はここまでの3試合すべてでファウルトラブルで、『ファウルを何とかしてくれよ。こんなんじゃ次は勝てないぞ』って言ったんだ」。隣で爆笑するタウンズをよそにエドワーズは話し続ける。「ウチで最高のオフェンシブプレーヤーは彼なんだ。ファウルトラブルさえ避ければ相手にとって厄介な存在でいられる。フロアをストレッチすることもできるし、ポストプレーからパスもできる。何だってできるんだ。だから彼がコートに立ち続けるのはすごく大事なんだ」

長く勝てなかった歴史に話題が戻り、タウンズが「勝つために必要なことはすべてやってきた。僕は犠牲を厭わず、キャリアのすべてを捧げてきた。これまでの犠牲の上に今があることをうれしく思う」と語ると、すぐさまエドワーズが「犠牲!?」とツッコミを入れた。「まだ28歳なのに犠牲とか言うのは違うな。3試合でファウルトラブルだよ。ファウルさえしなければ彼は犠牲になんかならないんだ」

一方でタウンズがやり返す場面もあった。エドワーズはプレーで自分を表現することを恐れず、トラッシュトークも大好きな『コート上で饒舌な選手』だが、メディア対応での『エースムーブ』は極力避けようとする。この日の会見でも彼はタウンズを称え、40得点を挙げた自分のパフォーマンスについても「マイク・コンリーが演出してくれた」と謙虚であり続けた。プレーオフが始まる前に彼が語った「ここで勝つまでは『スター』とは呼ばれたくない」との言葉を引き合いに出されて「これで自信が増したのでは?」と問われると「まだだよ」と拒もうとしたが、隣のタウンズが「こいつはリーグの若きスターだよ。僕はずっとそう言っていたじゃないか。ほら、まぶしすぎてサングラスが手放せないんだ(笑)」と茶化した。

ウルブズにとっては大きなシリーズ勝利だったが、彼らが目指すのはもっと先だ。2人の会見は終始笑いに満ちていたが、ナゲッツとレイカーズの勝者と対戦するカンファレンスセミファイナルの話題になると笑顔は消えた。3勝1敗でリードするナゲッツは、昨シーズンのファーストラウンドで彼らが敗れた相手だ。

エドワーズはこう語った。「昨シーズンの負けは悔しかった。ナゲッツが優勝してくれたおかげで悔しさが少し晴れたけど、あの感覚は忘れていない。ナゲッツとレイカーズのどちらが勝ち上がってくるにしても、今度はもっと激しく戦うつもりだ」