名手レディックも右手でのシュートを推奨
昨シーズンの新人王に輝いたセブンティシクサーズのベン・シモンズは、次の世代のNBAの顔になれるだけの逸材に他ならない。パフォーマンスはもちろんのこと、カリスマ性も併せ持つ貴重な存在で、これからもシクサーズの躍進に欠かせない選手の一人だ。
ただ、シモンズにとって『アキレス腱』と言われているのが、ジャンプシュートとフリースローの精度だ。シモンズはドライブからのダンク、レイアップという得点パターンが多く、ジャンプシュートを得意としていない。その原因は、左手でフォロースルーするシュートフォームにある、という意見が多い。ちなみに、レイアップやダンクの際は右手を使うことが圧倒的に多い。
『New York Times』によれば、シモンズもこの癖については認識しているようで、2018-19シーズンはフォームを変える可能性があるという。
チームメートであるJJ・レディックも、今年の4月に同じことを自身のポッドキャスト番組で指摘。キャリアフィールドゴール成功率44.9%のレディックは、クリッパーズ時代にもディアンドレ・ジョーダンにシュートを放つ手をスイッチするように勧めたことがあったようで、「ベンにも『手をスイッチしたらどうか』と伝えたことがあった」と語った。またレディックは、シモンズが左手でリリースするフォームは、右手でリリースする形よりも良くないとも指摘している。
「彼は聞く耳を持った選手。ただ、彼を惑わせたくはないんだ。自分でも、意見を伝えた後で考えてしまったことはあるよ。彼にアドバイスしたのは、たしか去年の10月か11月頃だったと思う。初めて彼のシュートを見た時で、その時は右手でリリースしていた。でも、それから左手でリリースするようになって、上達していたからね。だから、(フォーム変更が)必要かどうかは分からない」
特に深刻な問題になりかねないのは、昨シーズン成功率56%だったフリースローだ。このままでは1、2ポゼッションを争うような試合の終盤の大事な時間帯に、フリースローが苦手な選手に故意にファウルを仕掛けてプレーを止める『ハック戦術』の餌食になってしまう。
平均トリプル・ダブルに近いスタッツを残せているシモンズに、ジャンプシュートという武器が備われば、まさに『アンストッパブル』な選手に成長するだろう。
シモンズがボールをリリースする手を左手から右手に変えるかどうか。彼がトレーニングキャンプまでに出す結論にも注目したい。