強豪ひしめく西地区を勝ち抜くことは可能か
レブロン・ジェームズの獲得に成功し、新たな時代の幕を開けたレイカーズ。名門再興の下準備として進めてきたヤングコアにレブロンが加わり、さらに脇を固めるサポートキャストも充実。こうして新たな一歩を踏み出したレイカーズは前途洋々に見えるが、現実は甘くない。
『成功』のラインをどこに置くかがまず難しいところだが、NBA優勝を掲げるのであれば、まず西カンファレンスを制するのが至難の業だ。なにせ、上回らなければならない相手が5人のオールスターを抱えるウォリアーズであり、レブロンの9年連続のファイナル進出は現状では極めて難しいと言わざるを得ない。
目標とすべきはファイナルではなく、プレーオフ進出。これがレイカーズの現実的なラインだ。レイカーズがライバルとすべきはウォリアーズではなく、ロケッツやブレイザーズでもなく、スパーズやウルブズ、ナゲッツ、そして同じLAに本拠地を置くクリッパーズといったところ。
ちなみに昨シーズン、レブロンを要するキャバリアーズは50勝32敗の東地区4位でプレーオフに進出した。東よりはるかに競争率が高い西カンファレンスに所属していたら、絶対にプレーオフに進出できていたとは言い切れない。昨シーズンのキャブズの西カンファレンスのチームとの対戦成績は15勝15敗で、勝率50%ではプレーオフ進出は果たせない。
キャブズのコピーではない新たなスタイルの追求
そもそも、新生レイカーズが昨シーズンのキャブズより強いと決まったわけではない。どの選手もレブロンとの相性は未知数で、レギュラーシーズンを戦いながらチームとしての戦い方を成熟させていく必要がある。その意味で「レブロンにとってやりやすいチーム」を追求し続けたキャブズを超えるまでにチームスタイルを確立させるには、時間も労力も要するはずだ。
レイカーズのロブ・ペリンカGMは「ウォリアーズと同じやり方でプレーするのは罠だ」と語っており、スモールラインナップによるアップテンポでアウトサイドシュート重視のスタイルを真似ようとはしていない。キーワードは「ディフェンスとタフネス」で、試合を通じて守備の激しさをいかに保つかを考えている。
そういった意味で言えば、ロンドやスティーブンソン、コールドウェル・ポープといった守備に優れた選手の活用によってレイカーズは全く新しいチームスタイルの強豪へと進化するかもしれない。それでも、時間と労力が必要なのは間違いないし、その過程で「期待外れ」の烙印を押さえて批判を浴びることもあるだろう。ここをレブロンが、そしてレイカーズ首脳陣がどう乗り切るかが新シーズンの大きなポイントとなる。
それでもレブロンは、今までいくつもの不可能を可能にしてきた。彼はいかに新生レイカーズを変えていくのだろうか。