精神的に苦しんだ昨シーズンの『バブル』から解放され「大きな変化だ」
クリッパーズはマーベリックスとのプレーオフファーストラウンドで連敗スタートとなった。レイカーズとの対戦を避けるべく、レギュラーシーズン終盤にあえて負けることで引き当てたマブスに攻守で圧倒されている。ホームコートでの2試合を落としてダラスに向かうことは想定外に違いないが、それでもクリッパーズの選手たちは前向きな姿勢を失ってはいなかった。
ポール・ジョージは23得点、28得点とそれなりの数字は残しているが、3ポイントシュートは2試合で15本中3本成功と爆発力を封じられており、マブスのエースであるルカ・ドンチッチには2試合で70得点を奪われている。「少し彼らに自由にやらせすぎた。彼らに自信を持ってプレーされている。ただ、それを封じ込めるのは僕ら次第だ」とジョージは言う。
「チーム内に不安はないのか」と問われたジョージは「ない」の一言で片付けた。「僕らは立ち向かう。心配するようなことは何もないよ」
ポイントガードのレジー・ジャクソンは「2つ負けてうれしいはずはないけど、自信を失ってはいない」と語る。「先に4勝しなければいけない。そのためにまずは次の試合を勝ちに行く。修正すべき点をしっかり押さえて、チームとして成長するんだ。個人それぞれの調子は悪くないから、チームとして噛み合えば大丈夫さ」
実際のところ、下位シードのマブスに2つ先行されて何とも思っていないはずはない。実際、ジョージは「誰もが僕たちが勝つと予想していただろうね」とも語っている。それでも彼らはシーズンを通じて作ってきたチームの力を信じている。そしてジョージにとってはもう一つ、昨シーズンのプレーオフで苦しんだ『バブル』の環境からの解放がある。
今回のシリーズが始まる前、ジョージはプレーオフでの意気込みとともに、今の環境がいかに幸せを語った。「今年は出口がある。家に帰って家族の顔を見て、一緒に過ごすことができる。チーム以外の友人とも会って交流できる。僕にとって普通の生活を取り戻せたことは大きな変化なんだ。バブルと今では、僕の精神状態は大きく異なる」
昨シーズン、隔離された『バブル』の中でジョージは深刻なシュートスランプに陥った。その中で彼は『バブル』での不自由な暮らしで精神を病んだことを自ら明かしている。今シーズン途中、ジョージはあの時期を振り返るとともに「今は心が落ち着いて、試合を楽しんでいる。僕を支えてくれた人たちの何気ない一言の一つひとつが僕を救ってくれた」と周囲への感謝を語っている。
そんな人たちのためにも、ジョージは勝利で報いなければならない。厳しい状況であることに間違いはないが、出口のない環境で苦しんだ昨シーズンに比べればずっとマシだ。「僕らは立ち向かう」の言葉をどのようなプレーで実践するか、ジョージの活躍に期待したい。