富樫勇樹

点の取り合いは後半に明暗「我慢強く戦えたことが勝利に繋がった」

4月28日、千葉ジェッツが敵地に乗り込み琉球ゴールデンキングスと対戦。54-54と激しい点の取り合いとなった前半から、ディフェンスを立て直した後半に突き放し、99-87で勝利した。これで千葉は、リーグ初年度から4回連続となるチャンピオンシップ出場を決めた。一方、連敗の琉球は新本拠地、沖縄アリーナでの初勝利を挙げられなかった。

第1クォーター、千葉は富樫勇樹と原修太が揃って7得点、琉球は今村佳太と牧隼利がともに6得点を記録。日本人選手を中心に得点を重ねる互角のスタートとなった。第2クォーターに入ると、琉球はこのクォーターで3本成功のキム・ティリを筆頭に、チーム全体で11本中6本成功と火を吹いた3ポイントシュートによって、残り2分半に9点のリードを奪う。だが、ここから千葉はギャビン・エドワーズ、ジョシュ・ダンカンによるインサイドアタックを軸に盛り返すと、終了間際に原が3ポイントシュートを沈めて、激しい点の取り合いは54-54と互角のまま試合を折り返した。

だが、後半に入るとこの均衡が崩れる。この試合、千葉はジャック・クーリーのフィールドゴール試投数を6本に抑えるなど、琉球のインサイドアタックを徹底して防ぐ。これに対し琉球は第3クォーターも外角シュートを狙い続けた。

「打ちたいシュートは打てていました」と琉球の藤田弘輝ヘッドコーチが振り返るが、第2クォーターとは真逆で、第3クォーターはフィールドゴール21本中5本成功のみと、オープンシュートを決めきれない。さらに琉球にとっては、シュート好調のティリが交代出場した直後に4つ目のファウルを喫し、ベンチに逆戻りとなったことも大きな痛手だった。

ここで千葉はチーム全体で守備意識を高く保ち、ディフェンスリバウンドを取って走る展開に持ち込むことで着実に加点し、一時はリードを2桁に広げる。だが、琉球も並里成の奮闘などで食い下がり、第4クォーター残り4分で千葉の6点リードと熱戦は続く。

しかし、ここで千葉は、エドワーズの3ポイントシュート、セバスチャン・サイズのフックシュートによる連続得点で再びリードを2桁に広げる。さらに残り2分、第4クォーターに10得点を爆発したシャノン・ショーターがダメ押しの3ポイントシュートを決め勝利を確定させた。

田代直希

連敗の琉球「これぐらいのレベルではチャンピオンシップで勝てない」

4連勝となった千葉の大野篤史ヘッドコーチは、「前節でもリバウンドがかなり問題になっていましたが、後半しっかり身体を張ってリバウンドをコントロールし、我慢強く戦えたことが勝利に繋がった」と勝因を語る。

指揮官はレギュラーシーズン残り試合に向けてこう続ける。「新しいことを今から取り入れるというより精度を上げていく。戦う気持ちをしっかり持ち、チャンピオンシップに向けて熱量を上げていきたいと思います」

19得点8アシストを挙げた富樫は、「失点は多かったですが、最後まで粘り強く戦ったことが勝利に繋がったと思います」と振り返るとともに、「負けられない試合が続きます」と東地区2位の死守へ気を引き締めている。

一方、琉球の藤田弘輝ヘッドコーチは、「もどかしい試合が続いていて、自分たちのディフェンスをもう一度、見直さないといけない。トランジションに強い千葉さんを相手に、もっと戻る意識を持たないといけなかったです」と敗因を語る。

キャプテンの田代直希は、次のように反省している。「今日の試合は、細かい部分で選手ひとり一人の責任感の薄さが出て、チームとしての連動に欠けていました。選手間でのコミュニケーションを足りず、チームの鉄則を守りきることができなかった部分は改善しないといけないです」

ディフェンスの脆さが目立った琉球だが、一方ですでに西地区優勝によりセミファイナルまでのホームコート開催権を獲得。今はチャンピオンシップに向けた調整期間でもあり、この試合も10人が13分半以上の出場時間と、プレータイムをいつも以上にシェアした。

チームの優先事項は、いかにチーム状態を上げて大舞台に臨めるかであり、田代もこの敗戦から成長への糧を得られたと語る。「負けるのはすごく良い薬で、ここまで何度も負けた次の試合でやり返してきました。これぐらいのレベルではチャンピオンシップで勝てない、東地区のトップチームには戦えないと身体に刻まれたことはプラスです。悲観はしていません」

琉球の次戦は、週末に行われる敵地での名古屋ダイヤモンドドルフィンズ戦となる。21日には沖縄アリーナ初の公式戦で敗れた相手に、今回の課題を修正した姿を見せることが求められる。