8本中4本の3ポイントシュート成功、復調の気配
サンロッカーズ渋谷は千葉ジェッツとの水曜ナイトゲームに91-85で勝利した。終盤までもつれる接戦となったが、第1クォーターで2桁のリードを奪うなど、スタートダッシュに成功したことも接戦を制する要因となった。そして、このスタートダッシュに大きく寄与したのが石井講祐だ。先発の石井は2本の3ポイントシュート成功を含む3本のシュートをすべて沈め、第1クォーターだけで8得点を記録し、先制パンチを見舞った。
「富山(グラウジーズ)戦を1勝1敗で終えて、一つも負けられない状況だったので、まず勝つことができて良かった。チームで我慢して勝ち切れたことが大きい」と、石井は勝利という結果にこだわった。
千葉に在籍した2018-19シーズンには『ベスト3ポイントシュート成功率賞』を受賞し、キャリアでの3ポイントシュート成功率は40.7%と、石井はリーグトップクラスのシューターとしての地位を確立している。しかし、「5連敗した時は自分がなんとかしないといけないと気負い過ぎていた」と語ったように、今シーズンの石井は波が激しく、3ポイントシュート成功率はキャリアワーストとなる34.2%に留まっている。それでも、この試合では今シーズンで2番目に多い8本の3ポイントシュートを放ち、そのうち4本を成功させた。
石井は「自分がオープンになる動きと、チームメートが見つけてくれる連携の部分が後半戦になって良くなってきた」と、復調の要因を分析した。「行き当たりばったりで空くのではなく、フォーメーションの中での予測だったり、意図的なプレーがチーム全体で共有できるようになってきました」
「調子が悪い時はコーナーで待ちぼうけしている状況が多い」
チームとの連携という『外的要因』がシュート確率に関係することは当然だ。しかし、それ以外にも調子を左右する要因がある。石井はオフボールの動きを意識している時ほど調子が良いという。
「結果的にカッティングすることが自分の得点に繋がらなかったとしても、スペースを空けて味方の得点に繋がったり、中に入ったことで自分が空くこともあります。調子が良い時はそのリズムが合ってると感じていて、調子が悪い時はコーナーで待ちぼうけしている状況が多いです。ゲームのリズムにうまく乗れていないので、オープンになったとしても気持ち良く打てていないことが多かったです」
実際、この試合での石井はカッティングを多用し、ペイントエリアで得点しそうな気配を漂わせていた。そして、ディフェンダーを引きつけたことでヘルプに行かせない状況を作り、ライアン・ケリーが1on1をするスペースも同時に生み出していた。
また、ディフェンスの出来も自身の調子を左右する要素になると石井は言う。「自分の中でやられたと思うファウルがなく、守れていた感触がありました。スティールが1、2本あったり、得点以外の部分でゲームの流れを変えられるプレーができた時は自分が出せているイメージです」
現在、SR渋谷は東地区5位、ワイルドカード下位でのチャンピオンシップ圏内に位置している。シーズン終盤には2.5ゲーム差の川崎ブレイブサンダース、そして、千葉との再戦が待ち受けている。復調気配の石井がこの調子を維持できれば、さらに上位でのチャンピオンシップ進出も可能だ。