進化を続けるバックスのヤニス・アデトクンボ、新シーズンのポジションはどこに?

2018/07/30
NBA&海外
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ヤニス・アデトクンポ

文=神高尚 写真=Getty Images

ヤニス・アデトクンボは忙しい

2016-17シーズンには史上初めて得点、アシスト、リバウンド、スティール、ブロックショットの5部門すべてでリーグトップ20に入り、攻守のあらゆる場面でチームの中心として奮闘、NBAを代表する選手になったヤニス・アデトクンボ。バックスでは絶対的なエースとして個人技で得点するだけでなく、起点役として味方へアシストをすれば、合わせのカットプレーも決めていきます。守ってもペリメーターでプレッシャーを掛けられるし、リムプロテクターとリバウンダーとしてゴール下を塞ぎに行く。攻守に忙しいプレーヤーです。

昨シーズンのアデトクンボはフォワード登録で主にパワーフォワードとしてプレーしました。その前はポイントガードになり、ルーキー時代は今よりも3ポイントシュートの割合が多くシューティングガードに近い役割も担当していました。211cmのサイズがありながらクイックネスやジャンプ力に優れ、ハンドリングスキルも兼ね備えるため、その能力を最大限に生かすためチーム事情に合わせて毎年のようにポジションが変化し、そのたびに必要なスキルを身に着け成長を重ねてきました。毎年ポジションの移り変わりが忙しいのもアデトクンボです。

昨シーズンのバックスはシーズン中にもエリック・ブレッドソーの獲得、ヘッドコーチの交代と大きな動きを見せましたが期待されたほどの躍進はできず、プレーオフではセルティックスを後一歩まで追い詰めたもののファーストラウンドで力尽きました。

そこでシーズン後にはマイク・ブーデンホルザーをヘッドコーチに迎え入れ、新たなスタートを切ろうとしています。果たして新シーズン、大黒柱であるアデトクンボのポジションはどこになるのでしょうか。

インサイドにスペースをもたらす補強

バックスはもう一人のエースとなるはずだったジャバリ・パーカーを失ったものの、スターター全員が残留しているため基本は現状維持のパワーフォワード扱いになるでしょう。一方で補強したのはブルック・ロペスとアーサン・イリヤソバというアウトサイドシュートの上手いビックマンです。インサイドにスペースを構築し、アデトクンボに使わせる狙いがありそうです。

毎年改善をみせるもののアデトクンボの弱点はシュート力にあります。

ノーチャージエリア 71.5%
ノーチャージエリア外の2ポイントシュート 35.5%
3ポイントシュート 30.7%

ゴール下では無類の強さを誇るものの、3ポイントシュートだけでなくショートからミドルレンジも確率が良くありません。そのためゴール下を固められると苦しくなるシーンが出てきます。

ディフェンスを大きく広げてくれる選手を獲得したのは、スピードと高さを併せ持つアデトクンボをよりセンター的な使い方をするためと予想されます。アウトサイドまでプレーエリアを広げながらも、広く空いたインサイドをタイミングの良い合わせで活用させる狙いがありそうです。特にシクサーズでのイリヤソバはジョエル・エンビートが離脱した時にセンターながら3ポイントシュートとバックドアカットでお手本となるプレーを連発しており、アデトクンボと組むことでお互いが繰り返しインサイドに飛び込む形が作れます。試合終盤をスモールラインナップにするチームが多い中、バックスもまたアデトクンボのセンターというラインナップを活用してきそうです。

新ヘッドコーチが求めるであろう連携

ホークスを率いたブーデンホルザーは特定の個人の突破力に依存するのではなく、選手同士が常に適切な距離感を保ち、コートを広く使って、より優位な状況の選手にボールを回す形を採用してきました。

バックスのオフェンスはコーナーまで広がって大きくスペーシングしておき、個人がドライブで崩していく形が中心になっていましたが、ホークスはバックスよりも40本近く多いパスでフリーの選手が打つ形を採用し、誰もがアシストを記録してきました。ブーデンホルザーはパスによる連携を重視するはずです。

ホークスが強かった時期にはアル・ホーフォードやポール・ミルサップがインサイドで活躍しており、ディフェンスの状況を見て中外を柔軟に動き回りました。ビックマンながらスキルの高い選手はブーデンホルザーの好みに当てはまります。アデトクンボはセンターといっても、ボールタッチの多くはアウトサイドになるポイントセンターの役割を任されそうです。

これまではアデトクンボが自分で仕掛けることでディフェンスを崩していったのが、パス交換の中で崩し、フリーになった選手に打たせることを求められるでしょう。チーム全体でバランス良く得点することを求めるブーデンホルザーのオフェンスなので、アデトクンボの個人スタッツは落ちるものの、その重要性は大きくなると予想します。

新シーズンでは個人技よりもチームとして連動し、新たな役割を与えられることで、アデトクンボはさらなる成長を見せてくれるでしょう。

ブーデンホルザーはホークスを素晴らしいチームに作り上げた一方で、チームオフェンスを優先しすぎたからか、才能ある選手を抱えながらも最後の一手を決める絶対的なエースを欠きました。アデトクンボという絶対的なエースをどんなポジションで活用し、勝負どころでどんなプレーをデザインするのか。このオフのブーデンホルザーはその準備に忙しいことでしょう。