ZiNEZ a.k.a KAMIKAZEが語るフリースタイルバスケットボールの魅力と3.11震災復興への思い「立場が弱い人、辛い人の味方に」

ZiNEZ a.k.a KAMIKAZEが語るフリースタイルバスケットボールの魅力と3.11震災復興への思い「立場が弱い人、辛い人の味方に」

2021/03/10 12:00
ZiNEZ a.k.a KAMIKAZE

「ボールの受け渡し自体が言葉を超えた素敵なコミュニケーション」

──まずはZiNEZさんがフリースタイルバスケットボールに出会ったきっかけを教えてください。

僕は小学校高学年からバスケをやっていたんですけど、そこで『AND1』というストリートバスケットボールのDVDを見て「カッコいい!」と思い、そこからストリートバスケの中にフリースタイルバスケットボールがあることを知りました。もともとストリートバスケの中に、コートを使わずボール一つで技術を見せる文化はあったのですが、ナイキが2001年か2002年にフリースタイルバスケットボールという名前を付けて広めたんです。

僕は家族の事情で15歳でカナダに引っ越したのですが、その世代の人たちの動画を見てフリースタイルバスケットボールを始めて、2年でアメリカで行われた世界大会で優勝しました。でも、蓋を開けてみればフリースタイルバスケットボールは日本が一番レベルが高いんですよ。それで日本に戻って活動するようになって、大会で優勝したり自分で大会を主催したりして、今のフリースタイルバスケットボーラーとして活動しています。

僕らの世代は自分のスタイルでそれぞれ一番になって、世界からも認められました。ただ、こういう世界になって次は責任を持たなきゃいけない。次の世代の子たちが新しいものを作る余白は僕たちが準備してあげなきゃいけなくて、この新型コロナウイルスの世になったことで、特にその思いは強くなっています。もともと動画一つでインターネットを通じて国境を越えて仲間ができるのがパフォーマンスアートの美しいところです。コートじゃなくてもできる、ボール一つでできる、SNSを通じて広がっていくスポーツの良さは必ず生かせるはずです。

──東日本大震災の後に様々な活動を行ってきたと聞きました。

フリースタイルバスケットボールの良さは被災地でも生かすことができました。震災の後、ハイエースにボールを30個ぐらい積んで被災地を訪問しました。住んでいる場所が大きな被害を受けて、楽しいことが何もできなくなってしまった子供たちの前でパフォーマンスをして、一緒にバスケをして。他のスポーツはコートがないとできませんが、フリースタイルバスケットボールはボール一つあればできます。キャッチボールもできるし、ドリブルやボール回しの技を教えることもできますが、ボールの受け渡し自体が言葉を超えた素敵なコミュニケーションですよね。最初は何もしゃべらなかった子たちが、1時間ぐらい一緒にバスケをした後は自分が経験したつらい思いや、これからやりたいことなど、多くを話してくれるようになります。それはフリースタイルバスケットボールが誰かの気持ちを助けることができる、と確信できた瞬間でした。

「テクノロジーとスキルを一つのチームに合体させたライブ配信」

──『CONDENSE』というパフォーマンスグループに加わりました。今年の3.11はその『CONDENSE』でイベントを行います。

『CONDENSE』はダンサーが作ったグループです。日本のダンスはすごくレベルが高くて『Beat Buddy Boi』というチームが事務所を辞めて、自分たちで自分たちをマネジメントするようになりました。ダンス&ボーカルユニットがたくさんいる中で新しいエンタテインメントを打ち出すために、もともと仲の良かった僕が加わって9人のユニットになりました。もう一つの強みは『THINK AND SENSE』というチームもメンバーとして所属していることです。CGなどを使った新しい撮影ができて、ゲームみたいに半分リアルで半分ファンタジーみたいな映像を作る最先端の技術を持っています。彼らのテクノロジーと僕らのスキルを一つのチームに合体させてライブ配信をやります。このコロナ禍でライブは難しくなっていますが、それを逆手に取って配信による新たなライブ体験を提供しようとしています。

3.11からの復興をテーマとして、僕たち『CONDENSE』と『梅田サイファー』という大阪のラップクルーが、CGで作られたステージでパフォーマンスをします。より良い復興を意味する『Build Back Better』(ビルドバックベター)という言葉があるのですが、エンタテインメントを通して地域や社会に防災の意識を浸透させることを目的としています。イベント収益の53%が寄付に使われます。震災から10年、僕たちの新しいライブを通じてチャリティで還元していくイメージです。

──ストリートバスケやフリースタイルバスケットボールに興味のある人に、今回のイベントの何を見てほしいですか?

ダンスとテクノロジーの合体は間違いなく新しいものですし、僕たちは曲も振り付けもシステムも全部自分たちで作ります。この先はアーティストが全部自分でやることが当たり前になると思っているのですが、他に先駆けてそれを形にしているんです。そしてフリースタイルバスケットボールは『持たざる者』の味方だと僕は思っています。僕自身もホームレス同然の立場で、帽子を置いてパフォーマンスをしてお金をいただいていた経験があります。そんな僕がようやく自信を付けてきて、こうした活動で立場が弱い人だとか辛い思いをしている人たちを勇気づける、それを応援しようとする人たちの背中を押す。そんなパフォーマンスができると思います。

僕たちだけでなく『梅田サイファー』さんもいて、ラッパーのR-指定さんもイベントに出演されていますので、是非見てください。フリースタイルバスケットボールはもちろんですが、『CONDENSE』の動きにもこれから注目してもらえるとうれしいです。

──『CONDENSE』で成し遂げたい目標はありますか?

ダンス自体、究極なことを言ってしまうとエンタテインメントとして歌に勝てたことがありません。マイケル・ジャクソンは誰でも知っていますが、歌の部分で有名になりました。バスケだったらマイケル・ジョーダンは誰でも知っていますが、ダンスのレジェンドを知っているかといえば、ほとんどの人が答えられないですよね。その印象を、このチームで上手く時代に乗れば変えられるんじゃないか、そうすればダンスも立派に市民権を得られるんじゃないかと思います。

フリースタイルバスケットボールは2000年になってから始まったものですが、僕たちのやっている身体表現そのものはものすごく歴史のあるものです。それを自分たちの力でもう一つレイヤーを上げて、たくさんの人に僕たちのパフォーマンスだったり、ダンスの素晴らしさを知ってもらいたい。それは僕の中で一つの目標として掲げています。

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