サンズ

「CPの試合に対する姿勢はチーム内に浸透するものなんだ」

NBAの2020-21シーズンは前半戦の日程を終えて、オールスターブレークに入った。ここまでのサプライズとして挙がるのがサンズの大躍進だ。

サンズは昨年のオフにサンダーからクリス・ポールを獲得。デビン・ブッカー、ディアンドレ・エイトンとの『ビッグ3』が誕生し、2009-10シーズン以来のプレーオフ進出に向けた土台が完成した。ただ、前半の35試合を24勝11敗(勝率68.6%)、西カンファレンスの2位で終えることを誰が予想しただろうか。

サンズがレギュラーシーズン前半戦をカンファレンス2位以内で終えたのは2006-07シーズン以来。セルティックスやナゲッツ、レイカーズら強豪チームからも勝利するなど、昨シーズンまでの弱さは感じられない。2年目のキャメロン・ジョンソンと3年目のミケル・ブリッジズが成長し、『バブル』でヒートのNBAファイナル進出に貢献したジェイ・クラウダーが守備と闘争心をもたらした。フランク・カミンスキーが3ポイントシューターとして復活(成功率41.9%)した影響もあるだろう。だが誰よりも大きなインパクトを与えたのは、司令塔でありリーダーのポールだ。

昨シーズン、若手が主体のサンダーをプレーオフに導いたように、ポールは現役選手の中でもトップクラスのリーダーシップを備えた選手で、チームメートの力を引き出せる。ただ、勝者のメンタリティを持つ彼がチームメートに要求するものも多い。それは、主力であるブッカーとエイトンのコメントを聞けば分かる。

ブッカーは『ESPN』とのインタビューで、ポールがチームメートに求める要素についてこんなことを言っていた。「どんな些細なことも重要になる。クリスは細部に関する要求をしてくる。ちょっとくらい平気だろうと思うような細かな部分に関してもクリスは指摘する。近道なんてないんだ」

リーディングスコアラーのブッカーが途中退場しながらも114-104でレイカーズに勝利した試合後には、「CPは声でチームを引っ張るタイプ。勝つために必要なディテールの部分を指摘してくれる。それが勝つために大事なことなんだ」とエイトンは語った。「Dブックがいない状況で、CPがハドルの中心に座って指示を出していた。勝つために必要なプレーを決めないといけなかった。ミスは許されない。今日のようにヒートアップしがちな試合では、僕たちのように若い選手はベテランの声に耳を貸す。CPの試合に対する姿勢は、チーム内に浸透するものなんだ。彼がいてくれて助かるよ」

毎シーズン競争が激化している西カンファレンスで、サンズがどこまで食い下がれるかは分からない。ただ、ポールという絶対的なリーダーの加入により『ダークホース』として注目されるようになったサンズは、後半戦で最も楽しみなチームの一つだ。