1+1を2以上にするには、互いの譲歩が求められる
理想的なチームメートとは、コート内外での信頼関係で強く結ばれ、試合中も阿吽の呼吸で連携を機能させられる関係を指す。近年ではヒート時代のレブロン・ジェームズとドウェイン・ウェイドが、そして今では微妙な関係だろうがサンダーで一緒だったケビン・デュラントとラッセル・ウェストブルックも、その代表例だろう。
反対に、関係性が円滑でなくとも、コート上で結果を残し続けるデュオも存在する。その代表格は、不仲だったにもかかわらず、2000年からレイカーズで3連覇を達成したコービー・ブライアントとシャキール・オニールだ。
逆に無意味なのは、個々の能力こそトップクラスだが、連携が機能せず、チームの結果にもプラスをもたらさないコンビだ。残念ながら、ウィザーズのジョン・ウォールとブラッドリー・ビールは、その悪例の一つに挙げられている。そして、当人たちもコート内での関係改善が必要と理解している。
『CSN』のインタビューに応じたウォールは、ビールとの関係性について、「コート上では、頻繁にお互いのプレーを好まない傾向がある」と明かした。
「そういう考えを横に置かないといけないね。ある一つのプレーで誰かの存在に気がつかなかったり、上手くいかないことがあっても、話し合えば済むことだ。僕は、チームメートと議論することに何の抵抗もない。バスケットボールをプレーしているだけだからね」
そして、ウォールとコンビを組んで4年になるビールが思う問題点は、こうだ。
「2人とも一番になろうとする性格なのが問題だ。自分の能力に確信を持っている選手が2人いて、お互いに自分の方が上回っていたいと思っていると、やはり難しい。僕たちは、どちらともそういう選手になってしまうことがある」
それでも改善させる方法はあると、ビールは考えている。
「たまに、お互いが相手を必要としているという事実を忘れてしまう。ジョンがいなかったら今の自分はいないし、逆もまた然りだろう。チームメートがいなかったら、今の僕たちはない。手を取り合って取り組まないといけないことで、プライドの問題だね。自分たちの個人目標、チームの目標に到達するため、そしてこれから5年、10年先にチームがどうなっているかを考えるためにも、僕らは徹底的に話し合わないといけない」
ウォールは相手をドリブルで切り裂くスラッシャータイプで、パスにも秀でている選手。ビールは、アウトサイドのシュートを得意とする選手だ。能力的には違うタイプのため、衝突する必要はないはず。『性格の不一致』は解消できなくはないはずだ。
リーグ屈指のバックコートも、これでは本来の力の半分も生かせていないことになる。最低でも1+1=2、願わくばそれ以上の関係性になれるポテンシャルを秘めているはずだ。チームとの契約上、最低でもあと3年は一緒にプレーする予定のため、ウィザーズの未来は、文字通りダブルエースに託されている。