ステフィン・カリー

「シュートが決まらない日にどうすればいいかも分かっている」

ウォリアーズはオーバータイムの末にヒートを下した。ドレイモンド・グリーンは試合当日になって右足首の調子が思わしくなく、出場を回避。ケボン・ルーニーとジェームズ・ワイズマンも欠場する状況で、前半を終えて15点のビハインドを背負う展開に。頼みのステフィン・カリーも、シュートタッチは良くなかった。最近はグリーンとの連携でディフェンスを引きはがすことの多いカリーは、相棒不在でなかなかリズムに乗れなかった。

それでも第3クォーターからディフェンスとリバウンドが改善し、ウォリアーズが試合の流れを引き寄せた。第4クォーター残り6分半からの11-0のランが効き、試合は延長戦へ。後半を通じて後手に回って振り回されたヒートは消耗が激しく、オーバータイムを戦う力は残っていなかった。結果、120-112でウォリアーズが勝利している。

ウォリアーズにとってこの勝利の意義が大きいのは、頼みのステフィン・カリーが不調だったにもかかわらず、他の選手がステップアップして勝ったことだ。第4クォーターの猛追にも、カリーはそれほど絡んでいない。味方のスクリーンは位置もタイミングもカリーの想定とズレており、オープンショットが打てない。第4クォーターを終えて17得点と平凡な数字しか残せず、フィールドゴール20本中6本成功、3ポイントシュートは16本打って成功わずか3本のみと苦しんだ。

それでも、アンドリュー・ウィギンズとケリー・ウーブレイJr.がそれぞれ23得点、ベンチから出たケント・ベイズモアはゲームハイの26得点を記録。全員でディフェンスとリバウンドを頑張り、オフェンスでもカリーに頼らずにヒートと渡り合った。

ようやくカリーが本領を発揮したのは、延長も半分を過ぎてから。延長に入って思い切り良く放つシュートが3本連続でリングに嫌われたが、彼の攻めの姿勢は変わらなかった。ジミー・バトラーとバム・アデバヨの得点でヒートが先行し、ベイズモアが決め返す展開で迎えた残り1分15秒、カリーの3ポイントシュートがついにヒットする。ベイズモアのセットしたスクリーンは全く効果がなかったが、カリーは2人のディフェンスを前にして打ち切ったシュートを沈め、115-112とリードをもたらす。ここからカリーはケンドリック・ナンを抜き去るドライブからキックアウトでウィギンズの3ポイントシュートをアシスト。そしてナンとの1対1から3ポイントシュートを成功させて、ヒートを突き放した。

「知識と自信を持ってやり続ければ、そのうち正しいリズムを見いだせる。試合中は確率のことは考えないようにしていた。17本とかそれぐらい外したから疑念は忍び寄ってくるけど、それに負けずにシュートを打ち続けなければならない」とカリーは言う。

試合を通じて42分の出場で25得点。土壇場での活躍はあったにせよ、カリーとしてはスタッツの残せない試合だった。しかし、戦い続ける彼の姿勢はチームの力になっていた。ウィギンズは言う。「ステフが偉大な理由はこれだよ。前半は苦戦したけど、彼のマインドセットは揺るがなかった。いつだって自分が試合を決める気持ちで戦い、そして最後にビッグショットを決めるんだ」

どうやったら、そのような強い精神力、勝負強さを発揮できるのだろうか。そう問われたカリーは笑顔とともにこう答えた。「どれだけ時間をかけて準備してきたか、僕は分かっているからね。僕は9歳の時からシュートを打ち続けてきた。シュートが決まらない日にどうすればいいかも分かっているんだ」

いまだ16勝13敗、勝ち越してはいるものの西カンファレンスの7位で、彼らが考える『本来いるべき場所』にはいない。ただカリーは「今の僕たちが目指すのは3連勝だ」と、先のことではなく次の試合のことを意識している。今シーズンここまで、連勝は6回あるが3連勝はない。まずは目の前の1勝を、カリーは奪いに行く。