1対1を多用して苦しんだグループリーグ
アメリカ代表の3大会連続となる金メダル獲得で幕を閉じたリオ五輪男子バスケットボール。結果だけを見れば予想通りの結末となったが、優勝までの道のりは決して平坦ではなかった。
まずはスター選手の代表辞退が相次ぎ「ドリーム」ではなく「ベター」なチームとなってしまったこと。しかし、オールスター級の選手たちの集合体であることに変わりはなく、苦戦することなく優勝する、というのが大方の予想であった。
グループリーグでは中国、ベネズエラと格下相手に対し力の差を見せ付け快勝。しかし、続くオーストラリア、セルビア、フランスとの戦いでは、どちらに勝利が転んでもおかしくない内容で、すべて10点差以内での、薄氷の勝利の連続であった。
全勝での首位通過ながら、予想していたようなパフォーマンスを見せられないことでメディアからは「優勝は難しいのでは」という声が上がった。
連携が噛み合うようになり本来の力を見せた決勝リーグ
しかし、その懸念はすぐに払拭された。予選での戦いを「決勝までの練習」とケビン・デュラントが表現したように、徐々にチームの連携が噛み合い始めた。準々決勝、エマニュエル・ジノビリを擁するアルゼンチン戦では危なげない試合内容で約30点差を付けて圧勝する。
準決勝では、FIBAランキング2位のスペインに実力を発揮され、流れを渡しかけるシーンも見られたが、結局は常にリードを保ってスペインを寄せ付けず、決勝に駒を進めた。
グループリーグで最も苦戦を強いられたセルビアとの再戦となった決勝では、研ぎ澄まされたディフェンスから速攻を展開する、王道のバスケで優勝を勝ち取った。
予選からの試合を通じて日替わりで得点王が変わる中、ケビン・デュラントがチームトップの平均19.4得点を記録し、チームを牽引した。また、チーム2番目の12.1得点を記録したチームリーダーのカーメロ・アンソニーは予選リーグの苦しい時間帯に効果的なシュートを何本も沈めチームに勢いを与えた。
デアンドレ・ジョーダンとデマーカス・カズンズは制空権を掌握、最後の門番として相手のシュートを幾度となく打ち落とし、簡単なシュートを許さなかった。
またクレイ・トンプソン、ポール・ジョージ、ジミー・バトラーによるアグレッシブなディフェンスにより、スティールから得点を奪うシーンが幾度となく見られた。
こうして予選から見違えるほどの内容で決勝リーグを戦い抜いたチームUSA、世界一の称号を勝ち取り、しばし安息の時間を迎える。