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若手の急成長を受け、アービングもトレードの駒に?

昨年の夏、東カンファレンスの名門セルティックスはカイリー・アービングを獲得した。球団社長のダニー・エインジはこれを実現させるために、ファンの人気No.1だったアイザイア・トーマスをもトレードの駒に使った。非情な決断ではあったが、結果的には大成功だった。

アービングが若手を束ね、セルティックスはレギュラーシーズン後半まで東の首位を独走。終盤にはラプターズに追い抜かれたものの、アービングが若手に与えたプラスの影響は大きかった。アービングがひざの手術で不在となったプレーオフでも、バックス、セブンティシクサーズを破ってキャブズとのファイナルへ。レブロン・ジェームズの底力に適わず、第7戦の末に敗れたが、若手コアの中枢を担うジェイソン・テイタム、ジェイレン・ブラウン、マーカス・スマート、テリー・ロジアーにとっては何物にも代えがたい経験になった。

そして今、セルティックスは一つの決断に迫られている。故障歴の多いアービング、重傷から復帰するヘイワード、キャリア終盤に突入しつつあるアル・ホーフォードらベテラン頼みのチームを作るより、若い力を中心にロスターを構成する方が未来への投資になる。

アービングは来シーズン開幕を万全の状態で迎えられるだろうが、来年のオフに契約最終年を破棄してフリーエージェントになることができる。当然、来オフには間違いなく他チームからオファーが届くため、慰留できるかどうかは分からない。

アービングとの再契約が可能と見込んで昨夏にトレードを成立させたが、この1年間で、特にプレーオフでの若手たちの成長を見て、考えを変えるかもしれない。どうせあと1年限定になるのなら、より若手の力を生かすことを考え、アービングをトレードの駒にする方法もあるのだ。現時点で最もセルティックスにフィットするビッグネームと言えば、スパーズにトレードを要求したカワイ・レナードだ。

リーグトップクラスの2ウェイプレーヤーであるレナードが加われば、セルティックスの先発はリーグ屈指の『要塞』になり得る。もっとも、レナードも来年のオフにフリーエージェントになれるプレーヤーオプションを保持しているため、アービングと交換しても同じく1年限定になる。ただ、それでもセルティックスの若手は2年続けて異なるトップ選手から学ぶ機会になる。昨シーズンはアービングから勝者のメンタリティを学んだ。もしレナードが加われば、優勝に欠かせないディフェンスを磨くことができる。

スパーズもレナードとの関係が破綻した以上、アービングであればトレードに応じるのではないか。レイカーズがレナードの獲得を検討しているという噂はあるものの、ライバルにエースを渡すとは考えにくい。カンファレンスが異なるセルティックスに放出し、トニー・パーカーが退団したポイントガードのポジションにNBA最高の選手を迎え入れることができる。

無論、これは想像上の話。だが1年前にアービングがキャブズにトレードを要求したことが表に出た時点でも、セルティックスへの移籍が実現するなど想像もできなかった。それを実現させたエインジなら、大胆過ぎる決断を下しても不思議ではない。再びセルティックスが大きな賭けに出るかどうかは、トレーニングキャンプが始まるまでに明確になるはずだ。