ジョン・ウォール

ウィザーズへ感謝「さよならではなく、ありがとう」

ジョン・ウォールはロケッツの一員として新たなシーズンをスタートさせた。2010年のNBAドラフト全体1位指名を受けて入団したウィザーズにキャリアを捧げるものかと思われたが、そうはならなかった。ロケッツのトレーニングウェアを着てメディアの前に出ることは、彼自身も慣れておらず気恥ずかしそうな表情も見せた。「あのユニフォームを着ていないことが現実とは思えない」と彼は言うが、彼自身はキャリアにおける重要な再スタートに強い意気込みで臨んでいる。

「この2年間は身体をできる限りベストに戻すことに費やしてきた。自分のパフォーマンスを取り戻し、自分自身でキャリアを終えるタイミングを決めるためにね。初めての練習の感触は最高だった。リーダーとしての役割を果たそうとした。ポイントガードとして、コート上で仲間にどのポジションにいてほしいか、自分に何が見えているのかを伝える。コーチも僕を含めた新加入の選手もアジャストして、チームを最高の状態に高めるにはどうすればいいかを考えている」

ロケッツはラッセル・ウェストブルックをトレードに出してウォールを獲得した。ただ、これで終わりとは考えられていない。このチームのエース、ジェームズ・ハーデンもトレードに出されるとの噂がある。ロケッツの練習初日、ハーデンは姿を現さなかった。

そのハーデンとコミュニケーションを取っているとウォールは言う。「移籍する前から彼とは友人だし、このチームにとってベストの判断を一緒に探っていきたい。ロケッツにトレードされてからジェームズとは共通の認識を持っている」

ハーデンは残留するか? との問いに「もちろん」とウォールは答えた。「彼と一緒にプレーすることが、このトレードを決めた理由の一つでもある。彼がここでプレーしたくなるように100%の努力をするつもりだし、このチームがどこまで行けるか、僕は楽しみにしているんだ」

ワシントンDCを離れるにあたり、彼はSNSで10年をともに過ごした街とファンに感謝のメッセージを投稿している。それでもロケッツの一員になってあらためて、彼はウィザーズへの思いを語った。

「正直、ウィザーズを離れたという実感がない。SNSでの投稿は、自分にできる限りベストな方法での挨拶だった。10年間サポートしてくれた人たちに対しては、心からリスペクトしているんだ。2010年6月25日にリムジンから降りてレッドカーペットの上を歩いて当時のバラエティセンター、今のキャプリコーン・アリーナへ足を踏み入れた。興奮していたよ。当時の僕は19歳のやせっぽっちの少年で、その先の人生がどうなるか全く分からなかった。ファンに成長を見守られながら、僕は2人の男の子を授かり、家族を持つ大人の男になった。支えてくれた人たちを愛しているし、これからも僕の心の中には常にファンの存在がある。僕がこの地球からいなくなる日まで、ファンやコミュニティとの交流は忘れない。ウィザーズの幸運を祈っている。だけど、僕はロケッツで選手として復活し、オールスター選手になりたい。ファンにはさようならではなく、ありがとうと伝えたい」