例年とは異なるスケジュールに加えて『本命不在』のNBAドラフト、将来性と現実的な補強の狭間でどう立ち回る?

例年とは異なるスケジュールに加えて『本命不在』のNBAドラフト、将来性と現実的な補強の狭間でどう立ち回る?

2020/11/17
NBA

きらめく才能とリスキーな弱点を抱える選手が上位候補に

新シーズンの開幕スケジュールも決まり、ドラフトとフリーエージェントの交渉解禁が一気に始まります。例年であればサマーリーグやトレーニングキャンプといった準備期間が取られているのに対し、新型コロナウイルスの影響で例年のスケジュールから大きく遅れている今年は、ドラフトから開幕まで1カ月しかありません。ドラフト候補選手には試練の多い新シーズンになりそうです。

今回のドラフトはスケジュールだけでなく、他にも特殊な要素があります。ザイオン・ウイリアムソンという1位指名確実の『超大物』がいた昨年と違って『本命不在』であり、長所と短所が明確な選手が多く、上位であっても誰が指名されるか分かりません。

さらに新型コロナウィルスの影響でNCAAトーナメントが開催されませんでした。グリズリーズで新人王を獲得したジャ・モラントは大学シーズン終盤に大きく評価を上げて2位指名となった経緯もあるだけに、選手からすれば最後の一押しとなるアピールができなかった、各クラブからすれば真剣勝負の場でパフォーマンスを見極められなかったことも評価を難しくしています。

1位候補のジェームズ・ワイズマンはNCAAの規定トラブルもあって早々に大学を退学したためプレー機会に乏しく、ラメロ・ボールやダニ・アブディヤ、キリアン・ヘイズといった海外のプロリーグでプレーしていた選手が相対的に評価を上げています。プレースタイルの異なるリーグでのプレーに対する評価は、チームによって大きく差が出ます。きらめく才能とリスキーな弱点を抱える選手が上位指名候補となっているのが現状です。

一方で10位前後の候補者になると、爆発力には欠けるものの完成度の高い選手が上級生を中心に増えてきます。3ポイントシュート全盛の時代に育ってきただけあって、シュート力が高い選手が増えてきており、ディフェンス力さえ備われば即戦力のロールプレイヤーになりそうです。将来性をとるか、現実的な補強を目指すか、チームの方向性が今回のドラフトで見えてきそうです。

もっとも、その『チームの方向性』が今回のドラフトをさらに特殊にしています。2位指名権を持つウォリアーズは主力のケガで順位が沈んだだけで、優勝を目指す新シーズンに向けては即戦力を求めており、さらに言えば『プレーオフで活躍できる戦力』だけが必要で、育成に時間のかかる選手はターゲットではありません。1位指名権を持つティンバーウルブズは優勝とまでは言わないものの、主力となる選手は揃えており、育成に時間のかかる選手は避けたい意向がありそうです。

そのため1位指名権を持つウルブズと2位指名権を持つウォリアーズがともに指名権をトレードに出して、複数の即戦力を求めていると噂されています。例年であればスーパースターの卵を手に入れられる貴重な権利を売りに出すのも珍しければ、それに買い手がつかないのも珍しいケースです。

他にもセルティックスは1巡目指名権を3つも保持していますが、現行戦力を考えると3人も指名する必要がありません。若手が充実しているホークスやペリカンズも含めて、計算できるベテランを欲しがっているチームが多くあります。サンダーやスパーズなど、若手を加えたいチームが上手く振舞えば面白い補強ができるチャンスでもあります。

選手の評価にバラつきがあり、チーム事情もバラついているドラフトと、補強期間の短いオフが重なったことで、ドラフト当日のトレードも多発されそうな気がします。通常ならば未来のスターを楽しむ機会ですが、補強の意味合いが強いチーム作りの機会になる特殊なドラフトは、一夜にしてリーグのパワーバランスを動かすことになるかもしれません。

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