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4年前にコービーとやり合った男が、チームUSAのリーダーに

アメリカ代表の一員として3大会連続金メダル獲得というミッションに挑むカイリー・アービングは、7月29日にシカゴのユナイテッド・センターで行なわれたベネズエラ代表とのエキシビションマッチで、チーム最多となる13得点を挙げ、80-45での勝利に貢献した。

五輪は今回が初出場となるアービングは、この4年間で大きく成長した。ロンドン五輪が開催された2012年、アービングは代表チームの練習相手となるセレクトチームに選出された。代表での練習に参加したアービングが、前回大会に出場したコービー・ブライアントに対し、1対1での対戦を申し込んだエピソードは有名だ。キャリア1年目を終えたばかりのアービングの申し出は、「高校を卒業したばかりの小僧の相手はできないよ」とコービー一流のトラッシュトークで一蹴された。

あれから4年。アービングは、2014年のワールドカップ優勝に貢献し、今年はキャリア初優勝を経験した。NBAを代表するポイントガードへと成長し、どこからも異論の出ない形でアメリカ代表でのポジションを勝ち取った。

ベネズエラ戦を終えたアービングは、リーダーとしてチームを引っ張ることについて聞かれ、自分の中の確たる自信を明かしている。「こういう時のために準備してきた。以前も同じような役割を託されている。とてつもない努力をして、チームメートやコーチから信頼を得てきたんだ。そのおかげで、やりやすいよ」

コービーに挑戦した4年前、チームUSAの先発ポイントガードとして五輪に出場する機会を得られると想像していたかを聞かれると、「こんなに早く実現するとは見当もつかなかった。ただ、それが今でうれしい」と答えている。

「素晴らしい選手とともにリオのロッカールームで時間を過ごす準備はできている。金メダルを獲得する心づもりは整っているよ」

4年前の件は、コービーの中にもどことなく残っていたのだろう。昨シーズンのキャバリアーズ戦を終えた時、ブライアントは、チーム内に必要な緊張感を作り出せる存在として、アービングの名前を挙げている。「レブロン・ジェームズはチームをまとめるタイプのリーダーだ。緊張感を作り出すことでチームを引き締めるタイプのリーダーは、キャブスで言うとカイリーなのかもしれないね」

チーム最年長のカーメロ・アンソニーがチームを一つにまとめるリーダーなら、アービングは試合中も緊張感を作り出して気持ちを引き締めるタイプのリーダーなのだ。NBAファイナルに続き、リオ五輪でもアービングが主役を演じる可能性は極めて高いと見ていいだろう。

現役引退したコービーだが、その「エッセンス」は次の世代へと受け継がれている。