ケンテイビアス・コルドウェル・ポープ、小さなプレーから大きな違いを生み出すレイカーズの『仕事人』

ケンテイビアス・コルドウェル・ポープ、小さなプレーから大きな違いを生み出すレイカーズの『仕事人』

2020/10/10
ケンテイビアス・コルドウェル・ポープ

ヒートの爆発力を封じるディフェンスのキーマンに

KCPことケンテイビアス・コルドウェル・ポープは華やかなレイカーズのスターターであり、ドラフト1巡目8位という高い順位で指名されてから7年目と脂の乗った選手ですが、地味な存在としてチームに貢献しています。元オールスターのドワイト・ハワードや優勝経験のあるダニー・グリーンやラジャン・ロンドを抱えるロスターにおいては知名度が低く、コーナーから放ったオープンの3ポイントシュートをバックボードの上に当ててしまうなど不安定なシューティングもあって、重要度が低い選手に見えますが、NBAファイナルという舞台では代えの効かない選手として存在感を見せています。

NBAファイナルでのKCPは3ポイントシュート成功率わずか29%。レブロン・ジェームスやアンソニー・デイビスを警戒してヒートがインサイドを固めており、フリーで打っているにもかかわらず外しまくっています。しかし、レイカーズにとってより重要なのはヒートのダンカン・ロビンソンの3ポイントシュート成功率もまた31%に留まっていることです。

NBAファイナルでのロビンソンは26本の3ポイントシュートを打っていますが、KCPにマッチアップされている時間帯は6本しか打てず、そのうち成功したのは1本のみと、KCPはヒートが誇るシューターを完璧に止めています。その一方でKCPにマークされていない時間帯のロビンソンはこれまで同様に多くのシュートを放っています。つまりレイカーズはチームとしてではなく、KCPの個人能力でロビンソンを止めているのです。

KCPが優れているのは「スクリーンをかわす動き」とロビンソンが動く前に「パスコースに入る」一瞬の反応の速さと細かなステップワークです。グリーンとロンドはロビンソンのオフボールの動きに対応できていないのですが、目立たなくてもロビンソンの持ち味を封じるKCPは、代えの効かないディフェンダーとしてプレータイムが長くなっています。イーストの各チームが苦労したロビンソンのオフボールムーブが封じ込められたことは、ヒートにとって誤算だったでしょう。

オフェンス時にコーナーでパスを待ち、そこからトランジションディフェンスのために全力で戻り、ハーフコートになってもオフボールを追いかけ続けるからか、試合中に疲れている表情をみせることもあります。得点の半分が第1クォーターに集中しており、第2クォーター以降は極端にシュートタッチが悪くなるのも疲労の影響でしょう。それでも第4戦では接戦の残り3分からヒートを突き放す5点を奪う活躍も光りました。普段はシュートが決まらなくても、チームが苦しくなってきた時に3ポイントシュートと速攻で得点を生み出す不思議な勝負強さを持っているのも魅力です。

ディフェンス優先の起用法の中で重宝されるだけでなく、緊迫した場面で強気にドライブも選択できるため、試合終盤にコートに送り出されています。しかし、KCPはこれまでのキャリアにおいてプレーオフの経験が4試合しかなく、それは同時に負けた経験しかありませんでした。若いヒートが経験豊富なレイカーズに挑む形になっているファイナルですが、実はレイカーズの方も経験に乏しい選手が決定的な働きをしているのです。

ハードワークをベースとするヒートですが、その上に乗っかる爆発力はロビンソンを始めとするシューター陣の3ポイントシュートによって形作られます。レイカーズと競り合うだけならハードワークだけでいいかもしれませんが、上回るには3ポイントシュートが必要で、そのためにはKCPのディフェンスを攻略しなければいけません。

第4戦で復帰したバム・アデバヨでしたが、ケガ明けということもあり本来の役割であるプレーメークは控えめでした。第5戦ではハンドオフとバックドアを組み合わせたロビンソンとアデバヨのコンビプレーを増やし、マークを引きはがしに来ることが予想されます。ヒートが準備してくるであろう様々な工夫を、KCPのディテールが上回れるかどうか。一つひとつの動きは小さく地味ながら、KCPの働きは両チームにとって重要な意味を持つことになりそうです。

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