NBAファイナルは明日第5戦、ジミー・バトラーがヒートにもたらすのは『個』ではなく勝負強いチームプレー

NBAファイナルは明日第5戦、ジミー・バトラーがヒートにもたらすのは『個』ではなく勝負強いチームプレー

2020/10/09
ジミー・バトラー

「ファイナルの舞台は選手を変える」を体現

「選手の真の価値はプレーオフで分かる」と言われるように、お互いに手の内を読み合うギリギリの戦いが続く中で、多彩なスキルと強いメンタルでステップアップできる選手こそが本当に価値のある選手だと言われます。ジミー・バトラーはフィジカルなディフェンダーとして相手のエースを止めながら、クラッチショットで試合を決めてしまう勝負強さも持ち合わせた選手として、これまでも評価されてきました。

厳しい状況で更に力を発揮できる強いメンタルは、今シーズンのプレーオフでも存分に発揮されており、接戦を制してファイナルに駆け上がってきました。ゴラン・ドラギッチ、バム・アデバヨ、タイラー・ヒーローなどのチームメートもバトラーと同じく、プレーオフでさらに輝きを増しており、気の合う仲間たちとの関係性がチームをより強固にしています。

ただし、これらの強さはあくまでも「緊張感のある中でも自分自身の力を発揮できる」ということ。昨シーズンまでのバトラーはあくまでも『個』としての強さがあるだけで、チームもバトラーの勝負強さに頼っている構成でした。しかし、ヒートに移籍してからは『チームの中心』としてプレーが構築されています。彼自身が、よりチームとしての強さを発揮する選手に変化しました。

そして迎えたファイナルではドラギッチやアデバヨの欠場もある中で、バトラーはより強く輝いています。第3戦は40得点でチームを勝利に導きましたが、そのプレーは単純にバトラー自身が勝負強く決めたというよりは、チームオフェンスを構築する中で自分が行くべきポイントを見極めて効果的に決める形でもありました。

ドラギッチのようにトップでコントロールし、アデバヨのようにハンドオフからシュートを打たせたバトラーは、91本のパスを通して13アシストを記録し、自身は3ポイントシュートを1本も打たずインサイドでの得点を積み上げたのです。

インサイドで強さを発揮するアデバヨが復帰した第4戦はドライブを減らし、よりアウトサイドでパスを散らしました。同時にディフェンスに比重を置き、レブロン・ジェームスやアンソニー・デイビスに対して激しいプレッシャーをかけて相手のエースを封じ込めにいきました。試合には敗れたものの、従来のような『個』の強さではなく、チーム全体のバランスの中で試合展開に応じて、様々な局面で強さを発揮する選手になってきたことは印象的な変化です。

『プレーオフの強さ』であれば、これまでも十分に強かったバトラーですが、ハイレベルな攻防が続くファイナルという舞台では単純な個人の強さで勝つのは難しくなります。単に個人の『勝負強さ』で試合を決めるのではなく、チーム全体を引き上げるようなプレーができるようになったバトラーの変化は、自分の力をチームの勝利に繋げるための変化でもあります。

レイカーズも第4戦で勝負を決めたのは厳しくマークされたレブロンではなく、ヒートディフェンスの隙を突いたチームメートでした。バトラーも見事なアシストで食い下がったものの、自らが止めに行ったレブロンを囮にされてしまいました。

試合ごとに進化するバトラーを見ていると、まさに「ファイナルの舞台は選手を変える」と感じます。第5戦でシリーズが終わってしまうのはもったいない。ヒートというチームをもう1段階引き上げてくれるパフォーマンスに期待したいです。

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