文=丸山素行 写真=野口岳彦

八村加入による最大の恩恵は「アグレッシブさ」

7月2日、男子日本代表は敵地でチャイニーズ・タイペイを下し、ワールドカップアジア2予選進出を決めた。ホームゲームでは1点差の惜敗を喫していたチャイニーズ・タイペイを相手に、八村塁とニック・ファジーカスが加わった新日本代表は108-68と圧勝した。

昨日、帰国した八村は「緊張とかプレッシャーもあって、ストレスもあったんですけど、しっかり2勝できて良かったです」と自分が加わって日本代表が2連勝したことを喜んだ。

八村は昨年のU-19ワールドカップに参加し、歴代最高位である10位に導いた。フル代表でのプレーは今回が初めてで「以前みたいにアンダーカテゴリーではなくて、トップでやれたことは本当にうれしかったです」と日の丸を背負う喜びを語った。

2人の新戦力によって高さと得点力が増したことは言うまでもないが、八村はアグレッシブさが以前と一番異なると言う。「この2試合は勝ったんですけど、負けてても勝ってても、そのまま攻め続けた点が一番の違いです」

八村は大学の関係で2次予選に出場できるかどうかまだ分からないが、「僕としては行く予定です」と代表参加に前向きな姿勢を示している。ただ、自分が出場できないとしても八村は「このアグレッシブさを保っていけば全然大丈夫だと思います」とチームの力を信じている。

八村流ストレスとの付き合い方

チャイニーズ・タイペイ戦後の翌日、帰国したタイミングで話を聞いたが、八村は日々の生活の中で様々なストレスと戦っていると明かす。「ずっと向こう(アメリカ)に住んでいて日本に帰ってくるのもストレスですし、毎日練習していることもストレスです。人との関係もありますし、言葉もいろいろあってどこに行ってもストレスです」

「でもそういうのがないと弱々しくなるし、乗り越えて自分も良くなっていくのだと思うので、そのストレスはあっていいんじゃないかな」。そう話す八村にストレス解消法を聞くと「それがバスケです」という答えが返ってきた。「試合になると楽しくなるので、そういうところで解消しています」

確かに試合中の八村は感情を解き放っている。ダンクやブロックショットなど豪快なプレー後には雄叫びを上げ、味方の良いプレーに対しても全力で感情を表現する。そうした行為はストレス解消のうちの一つなのだ。

代表活動は一区切りとなったが、八村は休む間もなくアメリカに戻る。チーム練習がない期間も個人のフィジカルやスキルを高めるためのトレーニングがあり、忙しい生活は変わらない。