DeNA川崎ブレイブサンダースが新たな事業戦略を発表「日本のバスケットボールの未来を作っていきたい」

2018/07/04
Bリーグ&国内
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文=鈴木健一郎 写真=鈴木栄一

北卓也ヘッドコーチの続投(8年目)も正式発表

川崎ブレイブサンダースは7月1日より東芝からDeNAに正式に事業が移譲されている。新しい運営会社となる「株式会社DeNA川崎ブレイブサンダース」が今日、事業戦略発表会を開催。代表取締役社長の元沢伸夫が新しい川崎ブレイブサンダースとしてのビジョンを語った。

まず、運営会社は変更となってもクラブ名は「川崎ブレイブサンダース」で変わらないことを発表。『ブレイブ』は野球やラグビーでも使われる、東芝のスポーツの象徴である言葉。それも含めて東芝からの譲渡を受けるという元沢社長の強い気持ちで継承が決まったそうだ。同じようにチームカラーの『ブレイブレッド』も変わらない。

あわせて東芝OBである北卓也が過去7シーズンに引き続きヘッドコーチを務めることも発表された。アシスタントコーチの佐藤賢次と勝又穣次を始め、チームスタッフも東芝体制から継続となる。この人事について元沢社長は「非常にプロ意識の高い集団だと感じて、一人ひとりと話して残ってもらうことにした」と説明している。

この会見には北ヘッドコーチも登壇し、「新生川崎ブレイブサンダースになりますが、1950年からの伝統、歴史を引き継いで、私が率いてきたブレイブサンダースを引き継ぎ、強いチームを作っていきたい」と決意表明。また「名前とカラーを残してくれたのは素直にうれしい。伝統が残ると思う」と、旧東芝体制で最も社歴が長かった北らしく、首脳陣の決断に感謝した。

ここまで、「歴史を受け継いで変えない」という選択が続いたが、チームロゴについては「新しい歴史を作る決意の表れ」ということで一新された。「ゴールに稲妻が突き刺さる、この『稲妻』をチームの象徴にしたい」と元沢社長は語る。また歴史に対する敬意を忘れないという意味から東芝のチーム創立年である『1950』が取り入れられた。

新たなミッション「川崎からバスケの未来を」

新生川崎ブレイブサンダースのミッションは「MAKE THE FUTURE OF BASKETBALL 川崎からバスケの未来を」と発表された。元沢社長は「一クラブが語るのはおこがましいかもしれませんが、クラブしかできないことが多々あると感じてもいます。JBA、Bリーグと一緒になって、日本のバスケットボールの未来を作っていきたい。それが我々のミッションです」と語る。

今日、資料として紹介されたのが、川崎市とその周辺における調査結果。チームとしての認知率はプロ野球の横浜DeNAベイスターズが79.2%、サッカーの川崎フロンターレが75.8%なのに対し、川崎ブレイブサンダースは25.2%しかない。また観戦経験率はベイスターズの19.9%、フロンターレの12.8%に対して3.0%という結果だった。それでも元沢社長は「ネガティブではなくて、この差はバスケットボールのポテンシャル。人気もお客様の数もまだまだ増やせると考えている。この差を我々が先頭になって埋めていきたい」と意気込む。

そのために掲げた3つの目標が「アジアクラブチャンピオンシップ優勝」と「最先端のバスケットボールアリーナを実現」、そして「年間来場者数 30万人」。Bリーグ優勝はマイルストーンとして必須、その先のアジアNo.1をクラブとしては目指すということ。そして座組みも候補地も何も決まっていないが、1万人から1万5000人規模のアリーナを5年を目処に実現させたいとブチ上げた。その上で、ホームゲーム30試合で観客数平均1万人、これで30万人を目指す。

「本当に提供する価値は『非日常の興奮』だ」

この3つの目標はすぐに実現できるものではなく、長期的な取り組みとなるが、ファーストステップとなる2018-19シーズンに向けて「EXCITING BASKET PARK」計画を立ち上げる。元沢社長はこう説明する。「バスケットボールの試合を見ていただくが、本当に提供する価値は『非日常の興奮』だと思っています。普段、私自身も家族と接して仕事をする中で、泣いたり叫んだりすることはありません。それが日常ですが、そうではなくて、興奮する、感情がむき出しになる、そんな場所にしていきたい」

「EXCITING BASKET PARK」の例として、まず示されたのがセンターハングビジョン4面の設置。「すでに複数のチームが導入済みだが、これを使って今まで見たことのない演出、仕掛けをやっていきたい」と元沢社長は意気込む。またアリーナの一隅にDJブースを設置する、様々な企画を盛り込んだグループシートやVIPシートの新設も発表された。

また、一目で変化が分かるのはとどろきアリーナのエントランス部分だ。大型ビジョンでのライブビューイングでは、チケットを買えなかった人や休日にふらっと足を運んだ人にビールや食事とともに試合を見てもらう。イベントステージではチアやマスコット、時には選手も登場して盛り上げる。飲食の充実については「川崎のおいしいものを集めまくっている」とのこと。またポップアップストアや仮設バスケットコートの設置など、お隣の川崎フロンターレ名物となっている『川崎フロンパーク』級のエンタメが期待される。

また2018-19シーズンは、チームは「Bリーグ優勝」を、フロントは「土日開催試合の常時満員」を目指す。これまで川崎市民の利用を考慮して、とどろきアリーナの使用は金土が基本だったが、新シーズンには土日開催も何度か行われるそうだ。

川崎ではエースのニック・ファジーカスが日本国籍を取得。もともと優勝候補だったチームがエースを帰化選手として起用できることのプラスは計り知れないし、そのことでの人気アップも見込まれる。Bリーグ優勝も観客動員のアップも見込めるが、元沢社長は「一日でも早く、川崎から心底愛されるクラブになりたい。そこに向けてスタッフ一同頑張っていきたい」と語る。新生川崎ブレイブサンダースは夢のあるビジョンを掲げ、力強く前進し始めた。