文=立野快 写真=鈴木栄一

チームの成熟度と選手個々の意識「両方の問題」

崖っぷちのワールドカップ予選に向けた韓国との国際強化試合。快勝した第1戦に続く第2戦、日本代表はディフェンスを引き締めることができず、87-99で敗れた。第1戦との違いを富樫勇樹は「どちらの試合もプレッシャーはかかっていましたが、その中で上手くハンドルできたのが金曜日で、今日はターンオーバーからすべてノーマークのレイアップに行かれていた印象はありました。どうみても99点は多すぎるので。ディフェンスの課題が本当に残った試合でした」

インサイドの帰化選手に対するディフェンス、内容の悪いターンオーバーからの失点などディフェンスに課題が見えた日本。新たな選手を加えたチームの成熟度の問題か、個人レベルの意識に問題があるのかを問われると「両方じゃないですかね」と富樫は厳しい答えを出した。

「ニック選手のところは相手ビッグマンにやられた部分で、その場合にチームとしてどう守るかがまだできていません。これからオーストラリア、(クインシー)デービス選手がいるチャイニーズ・タイペイと対戦する時、金曜の(竹内)譲次選手みたいに守れる日もあれば、今日みたいにあっちのオフェンスが機能する時もあると思うので、そういう時の対策はこれからの練習でしっかり準備したいです」

「ファジーカスと八村にフォーカスしすぎないこと」

またオフェンス面では第1戦でチームの半数近い得点を稼いだ八村塁、ニック・ファジーカスに依存しないことが重要と富樫は語る。「あの2人に頼りすぎないことは重要かなと思います。もちろんチームとしてあの2人をうまく使いたいという気持ちはありますけど、そこにフォーカスしすぎると、っていうところがあるので」

特にオフェンス面を考えた場合、シュートレンジの広い富樫は自ら狙って得点することでインサイドの負担を軽減することができる。当然、そのためにはファジーカスや八村をスクリーナーに立ててのピック&ロール、そこからの展開の選択肢を増やすとともに、一つひとつのクオリティを高める必要がある。

指揮官フリオ・ラマスが推し進めるバスケットのスタイルについて「今までやってきた選手は何が求められているか全員理解している」と富樫は語る。ゼロから作り直す必要はなく、オーストラリア戦までのあと10日間でやれることは決して少なくはない。

「チームメートのことをより知ることができた2試合」

「自分自身、もっと自分の良さを出していきたいというのはありますし、そこの部分でこの2試合ちょっと自分の中ではどのプレーをコールするか、どの選手を使うかで、ポイントガードとしてチームメートのことをより知ることができた2試合で、それは良かったと思います」

個の力で得点を奪えてしまうファジーカスと八村がいるからこそ、いかにチームの流れにその能力を乗せるかがポイントガードの役割だ。「もちろんオフェンスリバウンドだったり1対1で勝手に点数取ってくれる時もありますけど、今日みたいな重い流れの時にうまく使ってあげたいなっていう気持ちもあります」

必勝が求められるワールドカップ予選のWindow3に向け課題が見えた日本。八村とファジーカスという大きな武器が新たに加わったが、短期間でチームとして機能させるためには司令塔である富樫の新たなステップアップが不可欠だ。